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[業界研究] 電力・ガス・エネルギー

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関連キーワード

概要

電力業界、ガス・エネルギー業界ともに、日常生活になくてはならないエネルギーを企業や家庭に届ける。使いたいときにすぐに使えるよう、安定供給を第一に考えている。また、環境にやさしい次世代エネルギーの開発にも取り組んでいる。

電力業界

電気を安定的に生産し、安定的に届ける

家庭で使う電球やエアコン、コンピューターのほか、企業や工場などで使われている電気を安定的に届けるのが、電力会社の仕事。事業内容は大きく4つに分けられる。それらは(1)発電:原子力、火力・水力・揚力などの電力を生産する (2)送電:発電した電力を送電線で変電所まで送る (3)配電:変電所から電力供給場所(工場、ビル、家庭など)まで配送する (4)営業:電力の販売・サービスの提供 の4つである。


足踏み状態の続く電力販売の自由化

従来、電気の供給は、地域ごとに国から許可された電力会社のみが行ってきたが、自由競争による電力価格の引き下げを目的として、規制緩和が90年代後半より段階的に行われた。2000年からの制度改革では、工場、オフィスビル、ショッピングセンターなどの契約電力50kW以上の需要家は、新規参入した電気事業者(特定規模電気事業者)や他地域の電力会社から電気を購入できるようになった。しかしながら、新規参入業者のシェアは現在のところ拡大していないのが現状だ。

民主党政権による温室効果ガス25%削減目標への工程表明らかに

2009年9月、政権与党となった民主党の鳩山首相(当時)は、国連気候変動首脳会議で「2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する」と表明した。これを受けて環境省では2010年3月、その目標を実現するための行程表を明らかにした。

日本にある原発、稼働ゼロに

2012年5月5日23時3分、北海道電力泊原発3号の稼働停止により、日本で稼働する原子力発電所は0となった。
世界原子力発電事業者協会(WANO)が結成される原因となったチェルノブイリ原子力発電所の事故は日本でも有名で、元々原子力発電の危険性は説かれてはいた。
しかし代替エネルギーにあたるものが無いためこれまで原子力発電に頼ってきたが、昨年の震災により福島第一原子力発電所事故が発生。日本初となる原子力緊急事態宣言が発令され、周辺半径20kmの住民には避難指示が出された。国際原子力事象評価尺度(INES)では影響度が0〜7までの8段階で示されるが、この時の事故はチェルノブイリと同等のレベル7(最高値)。
この事故、またこれに伴う風評被害も深刻で、一連の事象がきっかけとなり日本でも脱原発、反原発が声高に叫ばれ、上記の原発稼働0に至った。
ただ、原発に替わる低料金のエネルギー生産方法は未だ無く、このままいくと電力の料金値上げは避けられない。それも致し方ないとし原子力発電に一切頼らない反原発でいくのか、新たな原発は作らず最低限の原発のみ再稼働させ代替エネルギーを見つけることに注力しながら現状存在する施設を順次廃炉とする脱原発でいくのか、引き続き考えなければならない問題だ。

業界関連用語

●燃料電池
水素と炭素を化学反応させて発電する装置。発電すると同時に、発生する熱も活用することができるので、効率がよく、環境にも優しいエネルギー。すでに実用化されていて、携帯電話や自動車などにも搭載できないか研究が進んでいる。

●スマートグリッド
現在、人手を使って検針しているメーターを自動で検針できるメーター(スマートメーター)に取り換え、電力会社のシステムと電力供給場所とをネットワーク化した送配電網を活用して、ITによる電力需給バランスを制御する。実現に向けて電力各社が動き始めているが、システムの完成には20年必要という見方も。

どんな仕事があるの?

営業
家庭や企業に対して、電気を利用する際の契約手続き、電気料金計算のほか、さまざまな問い合わせに答える。新しい電気設備を設置するための説明や提案を行うことも多い。文系出身者の大多数は、営業職を経て、企画職や管理部門など他部門へ異動するケースが多い。

●燃料調達
世界のエネルギー需要や為替動向などを見ながら、燃料を安定的に仕入れるための手配をする。

●技術(運転設備の管理保守)
電力を生み出す発電所(火力、原子力、水力など)が安全に動いているかどうか、設備が異常なく動いているかなどを点検し、将来的にも安全に動くための計画を立てたり、設備の修理や交換などを担当する。理系学部出身者の大多数は、この部門を経て、他部署に異動するケースが多い。

●送電/変電/配電管理
電力を送る「送電所」、送られてきた電力の変換をする「変電所」、変電所と顧客を結ぶ「配電設備」の安全を守るため、技術的な立場で点検やチェックをする。

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ガス・エネルギー業界

都市ガス事業者とLP事業者に大別

ガスコンロや給湯、冷暖房などの家庭用ガス、工場の熱処理などに使われる工業用ガスを安定的に届けるのがガス会社の主な仕事。事業者は、天然ガスを中心とした都市ガス事業者と、石油系のLP(プロパンガス)事業者の二つに大別でき、それぞれ国内の半数の需要家に供給している構造になっている。売上高で比べた場合は、電力業界の約4分の1だが、工場用ガスの売り上げは伸びている。

電力業界と同様に、自由化が進む

コージェネレーション向けなど産業及び業務用を中心とする大口需要家のニーズの高まりを背景に、1995年3月のガス事業法改正で200万立方メートルを超える大口需要家向けが自由化された。その後段階的に範囲が拡大され、2007年4月からは10万立方メートル以上が対象となっている。ガス会社以外の企業でもガスを販売できるようになったことで、製鉄会社や商社などが参入している。今後、電力市場自由化と並行してガス事業も家庭用を含め自由化が進められる方向だ。

環境に優しいコージェネレーションシステムに注目

現在注目されているのは、都市ガスを発電して電気と熱を取り出し、電気だけではなく、熱も有効活用できる家庭用燃料電池システム(エネファーム)。エネルギー効率が高いだけではなく、無駄がないので省エネにもなり、また天然ガスを使うため環境にも優しいとあって、工場や複合施設などでの採用が増えている。また、電気や都市ガスに比べて料金が高いLPガスだが、地震などの災害により電線やガス導線が壊れる心配がないため、災害に強いエネルギーというメリットがある。

業界関連用語

●コージェネレーションシステム
発電時に発生する排熱を利用して、冷暖房や給湯などに利用する熱エネルギーを供給するシステムのこと。火力発電など、従来の発電システムでは失われていた発電後の排熱を、コージェネレーションでは最大80%近く利用することが可能となる。このため省エネルギーや二酸化炭素の削減に効果がある発電方式として、地球温暖化対策としても期待のシステムだ。家庭用のコージェネレーションシステム(エネファーム参照)も実用化されている。コージェネレーションを発展させたものにトリジェネレーションがある。

●エネファーム
家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの愛称。2008年6月に燃料電池実用化推進協議会が決定したもの。都市ガスから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて発電する仕組みだが、発電の際に発生する熱を利用してお湯をつくることができるのが特徴。電力会社の「オール電化住宅」に対抗するものだが、2009年1月発表の機器価格が約350万と高額であり、一戸建て住宅4人家族という一般的な家庭の消費電力(450kW/月、給湯1200MJ/月)の最大7割をまかなうことができると言われているが耐用年数(10年)を考慮に入れると、光熱費の節約に役立つかどうか定かではないため国からの補助金が出ている。第一期募集分は105万、第二期募集分は85万、第三期募集分は85万(但し2012年3月30日17時以降の補助金申込書FCA到着分については、補助金上限が85万円から70万円に減額)と下がっているが、これは機器価格自体が下がっているためである。

●エコジョーズ
従来捨てていた約200℃の排気ガス中の熱を二次熱交換機で回収し、熱効率を飛躍的に高める技術のこと(コンデンシング技術という)。これまでの家庭用給湯器では、使用するガスのうちの約20%が放熱や排気ガスとなっていたが、その約20%のうち約15%を二次熱交換機で回収し、再利用することによって、ガス使用量の低減をすることができるなど、さまざまなメリットが生まれる。エコキュートと比較、検討される場合も多いが、国からの補助金は2010年をもって廃止されている。

どんな仕事があるの?

営業
家庭や企業に対して、ガス利用のメリットやおすすめの設備などを提案するとともに、顧客からのさまざまな問い合わせに答える。

営業支援
ガス供給の協力会社を支援する仕事。サービスの質を高めるための資料を作ったり、営業戦略を企画したり、イベントを支援するなど、営業を全面的にサポートする。

●研究開発
ガスの原料や発電の仕組み、ガス機器やシステムなど、ガスを安定的に届けるための研究や開発をする。

●設計
ガスが安全にかつ安定的に届くように、古くなったガス管を取り替えるため、そして新しく増えるガス管の設計をする。