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[業界研究] 商社
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概要ある製品やサービスを売りたがっている企業や国家と、販売したがっている企業や国家とを結びつけるのが商社。ありとあらゆるものを手がける総合商社と、特定の分野を手がける専門商社とに分かれる。もともとは大阪の繊維問屋が発祥といわれ、特に総合商社は欧米には存在しない日本独特の業態だ。通販業界はネット通販の普及に伴い急成長を遂げている業界。 商社業界総合商社と専門商社かつて「ラーメンから航空機まで」という表現がよく使われたように、食料品から石油や天然ガスなどの輸出入、さらには金融から宇宙開発まであらゆる事業を手がけるのが「総合商社」。主な機能として、流通(貿易・販売・物流)、金融、情報の3種が挙げられる。それに対し、鉄鋼、産業機械、医薬品、電子部品、紙など、特定分野における商品について仲介を行うのが、「専門商社」である。総合商社がこれまでメインにしてきた仲立ち事業、トレーディング事業が近年、減少していることから、リスクマネジメント、ロジスティクス、環境、メディア、医療などさまざまな事業に投資を行ったり、時には自ら事業を立ち上げたりするケースも増えている。また少子高齢化によって市場が縮小傾向にある日本市場からいち早く世界に目を転じ、中国を始めとする東アジアの成長を見込める国々の需要を取り込もうとする動きも見られる。 貿易において2年連続黒字から赤字に転じる財務省が発表した2011年度の貿易統計(速報)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は−4兆4,101億円で過去最大の赤字となった。輸出は半導体等電子部品、自動車等が減少し、対前年度比3.7%の減少となった。また、輸入は原粗油、液化天然ガス等が増加し、11.6%の増加となったことが原因と見られている。 日本人の生活を支えている輸入製品景気後退の状況下、ただでさえ品物が売れない時代にあって、「商社は不要」という考え方も根強い。実際、独自の商品を自社ルートで生産・販売する企業が収益を上げているという事実もある。だが、たとえば食料ひとつをとっても、日本の食料の自給率はカロリーベースでわずか40%という事実がある。日本人は輸入に頼らなければ生活できず、商社の果たす役割は大きい。ここ数年、輸入食品に対する安心・安全が揺らいでいるが、商社としては、消費者のニーズを的確にとらえ、より安心・安全である食料を輸入するための企業努力が必要になってきている。 |
業界関連用語
●排出権取引ビジネス
「排出権」とは、国や企業が二酸化炭素などの温室効果ガスを一定量に限って排出してもよいと割り当てられた権利。割り当ての排出枠が余った国や企業は足りなかった国や企業との間で権利を取引(トレード)してもよいとされているため、近年はこの分野に進出する商社も多い。
●社内カンパニー制
もともと総合商社は、事業本部が独立した企業体の機能を有する「事業本部制」を敷いていた。これをさらに推し進めたのが「社内カンパニー制」。従来の事業本部になかった人事権や人材採用、査定の権限が加わる。これにより各カンパニーの自主・自律性が高まり、競争力の強化が図られるが、一方で採算の合わないカンパニーは完全分社化という形で整理されることもある。
通信販売・ネット販売業界
好調な売上高を維持し続ける通信販売業界
社団法人日本通信販売協会の調査によると、2010年度の通信販売市場の売上高は前年比8.4%増の4兆6,700億円。市場の伸長率はここ10年間で見ると2004年度〜2006年度の10%前後の伸び率に次ぐ高い数値となったと発表。金額ベースでは前年に比べ、約3,600億円の増加となっている。流通全般では、デフレなどの影響で消費低迷が指摘されているが、通販市場は過去10年でおよそ2倍となっており、好調な業界と言えよう。この成長の背景にはもちろん、インターネットの普及によるネット通販がすっかり市民権を得たことがある。また、景気後退で外出を控えた人々が、巣ごもり消費として、家でPCに向かって買い物をする傾向が増えていることも影響している。PCだけでなく携帯・スマホやテレビ通販も人気高まる
近年、特に若い世代では携帯電話やスマートフォンによるショッピングが主流になりつつある。商品ではファッションやアクセサリー、化粧品など20代女性の関心が高いものが売れ筋だ。情報の暗号化によりクレジットカードによる決済方法の安全性が高まったこと、データ通信の高速化、パケット通信の定額制導入なども普及に拍車をかけた。一方、CS放送などの普及で通販専門チャンネルが認知されるなど、テレビ通販も人気が高まっている。昔ながらのカタログや新聞などマス媒体の広告記事も依然として強みがあるが、最近では紙媒体に載せきれない商品や情報をネットやモバイルに誘導してフォローするケースが増えている。
業界関連用語
●巣ごもり消費
まるで鳥が巣に入っているように、人々が家の中にこもってそこで何でも完結させようとする消費傾向のこと。一昨年末あたりから世界経済の悪化が家計に影響を及ぼすようになり、消費者の節約志向が一段と進んだため、この巣ごもり消費は加速。外食や旅行に代わって、ネットや電話で観光地の美味しい物を取り寄せ、自宅で楽しむような消費者が増えている。
Blue-Rayの発売に伴い、家にいても高画質の映像が楽しめるようになったため映画館まで足を運ばなくなったことなども一例である。
●ECサイト
Electoronic Commerce Siteのこと。自社の商品やサービスをインターネット上で販売しているサイトのこと。広義には他社の商品を販売してもこう呼ぶ。一方、複数の商店のページを1つのサイトに集めたものを電子商店街、あるいはサイバーモール、などと呼ぶ。
●ネットスーパー
インターネットで注文を受け付け、品物を宅配するサービス。既存の大手スーパーマーケットが次々始めており、「現代の御用聞き」ともいえる。一定の締切時間までに注文すれば当日中に配達が可能で、一定額以上の注文なら送料も無料になるところが多い。高齢化社会の今、会員が順調に増えており、20万人を突破したスーパーもあるほか、大手ネット通販業者が参入を始め、競争が激化している。
どんな仕事があるの?
●営業
良い製品を売りたい企業と買いたい企業を開拓して結びつけ、適正な価格設定や仕入れ数量の調整、流通経路の確保などを調整する。グローバルに活躍するため、語学力も必要。
●商品開発
コアターゲット層を見極め、消費者がほしいと思う商品の開拓、オリジナル商品の開発を行う。
●制作
テレビ番組やインターネットサイト、カタログなど、販売ツールの媒体に応じてコンテンツを企画・制作する。
●Webディレクター
ネット通販において「店舗」でありマーケティングツールであるウェブサイトのデザイン、構築を手がける。
●カスタマーサービス
お客さまからの商品に対する問い合わせや意見受け付けに対応する。苦情、要望をすくい上げ、改善策に活かす。
●媒体営業
自社の商品を紹介するためのテレビや雑誌などの枠を確保する。