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[業界研究] 銀行・証券

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関連キーワード

概要

銀行は、預金という形で企業や個人から資金を預かり、「お金を借りたい」という企業や個人の中から自らの判断で選んだ相手に対して融資を行う。証券業界は、資金調達のために企業や国が発行する株券や社債、国債などを、自らの資金を投資したいという投資家に仲介する。

銀行業界

代表的な3業務とは

銀行の役割は大きく3つに分けられる。1つめは「お金を預かる」。預金という形で企業や個人からお金を預かり、それを運用することで利息をつけて提供する。2つめは「お金を貸し出す」。預かったお金を個人や企業、国・地方公共団体に貸し出すことで、利息を得る。3つめは「お金を送る・決済する」。振り込み、代金取立、手形や小切手による支払いの決済、公共料金・クレジットカード利用料金などの口座振替を行う。


欧州金融危機はメガバンクにとって大きなチャンス

日本の主要銀行は1999年以降、再編へと走り出し、その結果、バブル期には23行あった大手銀行の数は約3分の1にスリム化されている。アメリカ発の金融危機で影響を受けたものの、2010年度の中間決算では危機以前の水準にまで回復した。2011年には欧州債務危機の深刻化に際し、欧州系銀行から邦銀への資産売却が盛んに持ちかけられるなど、グローバル市場における邦銀の存在感は増している。健全性を維持しているとして支援を求められているわけだが、3大メガバンクにとって、海外収益の拡大は今後の成長の鍵を握るもの。大きなチャンスであるだけに、海外の優良資産を見極める目など、これまで以上に慎重な姿勢が問われる。

東日本大震災後、東北の預金高は急増

地方銀行の融資は、周辺の中小企業の経営を支える基盤となる。東日本大震災は東北の企業にとって大打撃となった。東北の地方銀行では住民避難により一時的に預金高が減少したものの、その後は義援金・保険金効果で前年比10%の伸び率となっている。今後どのように運用して有効活用し、被災地復興を担っていくか期待される。ただし、不良債権の問題は避けられず、それを見据えた公的資金の申請も相次いでいる。これをきっかけに、地方銀行の、都道府県の枠を超えた広域での再編という動きは活発化していきそうだ。全国的には、地方銀行63行の2010年度決算状況は、経営利益が増益(社団法人全国地方銀行調べ)。個人消費、生産が持ち直し、景気は緩やかな回復傾向にあると言えるだろう。

郵政改革法案成立で新規事業への展開図る

2010年4月20日に発表された郵政改革法案は、全国約2万4,000局の郵便局ネットワークと全国一律サービスを維持することを目的に、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険に政府出資を残したまま、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額を1,000万円から2,000万円に引き上げるなど、規模拡大を認める内容となっている。ゆうちょ、かんぽの全株式を売却、完全民営化を目指した小泉政権下の郵政民営化法から後退との批判もあり、野党の反発により継続審議となっていたが、2012年4月27日、参院本会議で可決、成立した。これにより、日本郵政グループは4社に再編され、経営効率化を図る。今後は、保険の新商品導入など新規事業への展開も拡大する見通しだ。

業界関連用語

●金融機能強化法の震災特例
地域金融機能強化や中小企業への円滑な融資を目的に、公的資金による資本注入を時限的に可能にする特例。資本注入を受けるにあたって経営責任が問われないほか、収益性、効率性の目標も免除される。

●中小企業金融円滑化法
2009年12月4日に施行された、中小企業者や住宅ローンの借り手に対する金融の円滑化を図ることを目的に制定された法律。銀行には、対象となるものからローンの申込みがあった場合、できるだけ、貸付条件の変更など、債務弁済負担の軽減のための措置をとるよう努めなければいけないなどの義務が課せられている。さらに、2010年12月には、法の期限を2012年3月末まで1年間延長することも決定した。

●自己資本比率
総資産のうち、万一の場合に貸倒れの可能性がある資産などに対して、自己資産がどれだけあるかを示す指標。多額の貸出金の回収ができないような場合、自己資金を取り崩して処理する必要が出てくる可能性もある。しかし、自己資金が大幅に減少すると銀行経営が困難になる。つまり健全な銀行経営には自己資本比率を一定水準に保つことが必須で、そのため銀行には自己資本比率規制が課せられている。

どんな仕事があるの?

融資
融資先が、自行の融資条件にかなっているかなどの審査を行う。審査のための書類から融資の資格をクリアしているかを正しく判断するために、情報収集能力が求められる。

営業
銀行の営業は、個人を対象とした小口の顧客への取引きを行う「リテール営業」と、中小大企業、政府、地方自治体などを対象とした「法人営業」がある。法人営業には、高度な金融知識や法人顧客に対する提案力が求められる。

●ディーラー
政府系金融機関、金融グループ、メガバンクなどでは海外との仕事があり、外国為替取引が不可欠。その為替業務を行うのがディーラーである。

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証券業界

代表的な4業務とは

証券会社は投資家と投資家とを結ぶ重要な役割を担っている。証券会社が行う仕事は大きく分けて4つある。1つめは「委託(ブローカー)業務」。一般の投資家から株式や債権の売買注文を受けて流通市場に取り次ぐ。取り次ぐ際は投資家から委託手数料を受け取る。2つめは「自己売買(ディーラー)業務」。一般投資家と同じように、証券会社が自社の資金で株式や債権を売買する。3つめは「引き受けおよび売り出し(アンダーライター)」業務。新規に発行された株式や債券を、一般投資家に売り出すことを目的に買い取り、売れ残った場合は証券会社がすべて引き取る。4つめは「募集・売り出しの取り扱い(セリング)」。新たに発行される証券やすでに発行されている証券を、多くの投資家に買ってもらうため、勧誘する。アンダーライター業務と違い、売れ残った証券を引き取る必要はない。

欧州金融危機による影響で減収、再編が進む見込み

全国証券会社の2011年3月期決算を見ると、営業収益は2兆9,188億円で、前年比14%の減収となった(日本証券業協会調べ)。欧州金融不安による円高進行により国内株式相場が下落したこと、震災の影響で市場が混乱し、売買収益が伸び悩んだことなどが要因である。アジアでの法人顧客を成長戦略の中心としていた業界大手も欧州金融不安の煽りを受け、底堅いリテール部門に比べ、法人部門で大幅な赤字を記録している。このため、銀行主導の再編が進むであろうことが予測される。中小証券でも再編が加速することは必至であり、業界の勢力図は塗り替えられていきそうだ。

ネットバンク開設など新たな顧客サービスも

2009年、金融機関などで部門間の交流を意図的に遮断するファイアーウォール規制が一部緩和され、証券会社とグループ銀行間における役職員の兼職規制が撤廃された。それ以前から、銀行でも株式や投資信託が購入できるようになるなど、銀行による投資関連業務は拡大し続けている。証券各社も対抗すべく新たな顧客サービスの在り方を探っており、2011年には証券業界初のネットバンクが誕生。株式を売買する際の決済口座も自社に設立してもらおうということだが、取引のある顧客の利便性は上がったと言えるだろう。銀行と証券会社が一体となった顧客サービスのモデルは米国のものだが、その米国では銀行の投資関連業務への規制が強化されつつある。それも踏まえて今後、日本の金融業界で規制緩和がさらに進むのか注目される。

業界関連用語

●直接金融
投資家が直接、投資先を選んで資金提供することを直接金融という。この直接金融で重要な役割を果たす代表的な金融機関が証券会社だ。これに対して預金の形で個人や企業から資金を集め、自らの判断で企業に貸し付ける機関を間接金融という。銀行や信用金庫、保険会社などがこれに該当する。

●アセットマネジメント
株式、債権、投資用不動産、金融資産などの資産(asset)を、所有者や投資家に代わって効率よく管理運営する投資顧問業務のこと。

●証券化ビジネス
企業などが保有している不動産や債権など、キャッシュフローを生み出す資産をSPC(特別目的会社)などに売却し、SPCがその資産を証券化して資金調達をするビジネス。

●PTS(私設取引システム)
証券取引所ではなく、証券会社などが開設したコンピュータネットワーク上の市場で投資家が直接、上場株式を取引するシステムのこと。現在、一部のネット証券はこのシステムを利用して夜間取引を扱っている。

どんな仕事があるの?

営業
個人・法人を問わず資産運用の相談にのり、株式や債券、投資信託などを提案する。常に勉強を欠かさず、投資先の将来性を見極める目を持つことが求められる。

●SMAコンサルタント
株や証券などを個別に販売するのではなく、顧客から一定額以上の資金を預かり、運用アドバイスから売買注文までをおこなう。

●ファンドマネージャー
投資家から集めた資金を有利に運用する専門家。運用先は株や債権の売買で、投資して得た利益は投資家に分配される。

●システム開発
証券業務向けのアプリケーションを開発する。