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[業界研究] 生保・損保

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概要

病気になったり死亡した時などに定められた保険料を支払うのが生命保険で、偶然の事故による損失を補てんするのが損害保険。かつて保険会社は、生保を扱う「生命保険会社」と、損保を扱う「損害保険会社」、がん保険や医療保険など「第3分野と呼ばれる保険を扱う保険会社」の3種類に明確に分かれていたが、現在は規制緩和が進み、互いの垣根はかなり低くなっている。

生命保険業界

世界有数の保険加入率を誇る

働き手が急に死亡するなど万一の事態がおきた時、残された家族にとって大きな問題になるのがお金のこと。そうした経済的リスクを補うのが生命保険だ。日本の生保業界はもともと遺族保護をメインに発展してきた。90年代には生命保険の世帯加入率は90%を超えるほどだったが、高齢社会を迎えて加入率の低い高年齢層が増えたことなどから、2006年には86.5%へと減少。保険料収入も減少が続いていたが、2009年度には景気回復により34兆1,161億円に増収、2011年度は34兆4,543億円(前年度比101.0%)にまで回復した(生命保険協会調べ)。一方、社会保証制度の見直しが進む中、その補完として生命保険が果たす役割は高くなっていて、従来の死亡保障に加えて、医療、介護、年金など第3分野は拡大を続けている。


規制緩和によって販売方法や商品が変化

現在、生保業界は規制緩和によって過渡期を迎えている。1996年に保険業法が改正され、損保も子会社を作ることで生保に参入できるようになった。2001年にはすべての保険会社でがん保険や医療保険など第3分野と呼ばれる保険を扱えるようになった。そして2007年12月22日には保険商品の銀行窓口販売が全面解禁になり、現在、各銀行はいくつかの保険会社と提携して、保険商品の販売代行を行っている。また、かつて生保の販売は営業職員が家庭や職場を訪問して行うケースが一般的だったが、今ではインターネットや電話で簡単に加入できるものも増え、その形も次第に変わりつつある。

生保の株式会社化が始まる?

2010年4月に第一生命保険が株式会社に転換し上場した。上場によって機動的な資金調達を通じてM&Aなどの成長戦略を加速する可能性もあるものの、市場から短期的な業績成果を求められるといったリスクもある。今のところ他社がこれに続く様子は見られないが、人口減少で国内市場が減少するなか、今後、株式会社化を検討するところが増加しそうだ。

業界関連用語

●ソルベンシーマージン(支払い余力)比率
生命保険会社は、保険金の支払いなどに備えて責任準備金を積み立てているが、大災害や株価暴落など、予測を超えたリスクが発生する可能性もある。そうした時に対応できる「支払い余力」を有しているかどうかを判断するために行政監督が指標の一つにするのがソルベンシーマージン比率だ。この比率だけを見て経営の健全性を判断することはできないが、比率が200%を下回った場合、監督当局によって経営の健全性の回復を図るための措置がとられる。

●相互会社
保険会社だけに認められている形態。株主の利益優先が求められる株式会社とは違い、保険契約者を社員とみなすことで相互扶助の精神を生かした経営を行う。しかし株式会社には、経営の透明性が高く合併や外部からの資金調達が簡単になるなどの利点があることから、近年は株式会社への転換を図る会社も増えている。

どんな仕事があるの?

●外務職員
各支店、営業所、代理店を基点として、個人保険の訪問販売を行う。

営業管理
地域の支店や営業所、代理店の営業管理を行う。

アクチュアリー
高度な統計学的知識に基づき、保険会社が健全な経営を維持しつつ、加入者にとって適正な掛け金と支払い保険料が設定されるよう、数理的な裏付けを行う。

●事務管理
営業が集めた保険加入者の情報をとりまとめる。保険証券の作成や契約事務、保険金や給付金の支払いのほか、医事審査や査定なども行う。

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損害保険業界

自然災害から交通事故までカバーする保険

損害保険会社では、交通事故、火災、爆発、自然災害、海難事故など、さまざまな事故・災害による損害の補償を提供している。補償(保険料の提供)は、契約者から集めた掛け金をさまざまな形で運用することと再保険によって可能になる。尚、2011年9月中間期決算では、正味収入保険料は増収したが、正味支払保険金が震災の支払いにより大幅に増加し、さらに台風等の自然災害の発生により保険引受利益は対前中間期間比91.1%減益の70億円となった。また、資産運用は株式市場の低迷や円高の影響により、資産運用粗利益が減益となり、その結果、経常利益は対前中間期間比50.7%減益の1,389 億円となり、中間純利益も特別利益は増益したものの対前中間期間比40.8%減益の1,018 億円となったとしている(一般社団法人日本損害保険協会調べ)。

欠かせない「代理店」も再編が進む

損保の販売は「代理店」が行うのが一般的。ところが国内の代理店数は年々減少していて、2001年度には全国で約34万2,000店あったものが、2009年度には約20万7,903店と約6割に、2010年度には20万2,098店舗となっている(日本損害保険代理業協会調べ)。これは多くの損保会社が販売力の強化を目指して営業力のある代理店とのパイプを強くしているためで、今後ますます代理店の淘汰・再編が進んでいくと考えられる。損保会社の中には業務のスリム化を図るために、保険契約をオンライン化することで事務作業の代理店移行を進めているところもある。

3大損保グループ体制が始まる

厳しい経営状態が続いていた損保業界では、再編が進み、2010年4月には3大損保グループ体制になった。基盤拡大の体制が整ったことで、今後は国内外でのM&A、海外市場への進出などを活発化させそうだ。少子高齢化で市場は縮小しているため、今後も各社の競争は激しくなるものと見られている。

業界関連用語

●代理店 
保険会社と代理店委託契約を結び、保険販売を行うのが代理店。代理店には、専業代理店と、自動車ディーラーや不動産業者、旅行代理店などが業務を兼ねる副業代理店がある。

●再保険
保険会社が引き受けた保険金支払い責任の一部、または全部を、海外などの保険会社に保険料を支払うことでリスクを引き受けてもらうシステム。自然災害や工場・ビル・飛行機事故が起きた場合、一社では保険金が払えなくなる可能性があるため、危険分散の方法の一つとして行われる。尚、スイス再保険(SRENH.VX: 株価, 企業情報, レポート)は28日、2011年の自然災害・人災による経済損失が過去最高の3,700億ドルになったことを明らかにした。

●事業継続計画書(BCP)
企業などにおいて事故や災害など危機的な状況が発生した場合、事業をできるだけ円滑に継続させ、さらに目標時間内に復旧させるための計画書。

どんな仕事があるの?

●運用
契約者から預かった保険料を、株式や債権の売買、土地などに活用して経営基盤の安定をはかる。

●査定
事故・災害が発生したときに、保険金をどれだけ払うか算出する。損害調査とも呼ばれる。

●システム開発
保険料の振り込みに関わるシステムや代理店システムなどの開発を行う。

●検査
金融庁が定期的に行う検査に対応するとともに、自社内部の事務職についての監査も行う。