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[業界研究] 鉄道・航空・運輸・物流
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概要運輸業界は「人」あるいは「物」を、「陸」「海」「空」のいずれかを通り、「鉄道」「自動車(トラック)」「船」「飛行機」のいずれかで運ぶ。物流業界は、さまざまな「物」を、「保管」「仕分け」「輸送」する。 陸運・海運・空運業界鉄道――整備新幹線の延伸少子化、景気後退によるビジネス・レジャーの需要減、さらには高速道路休日1,000円料金などの要因が重なり、鉄道業界は2007年を境にマイナス成長が続いている。しかし、定時性や環境に対する影響など鉄道ならではのメリットも大きい。地方では整備新幹線が延伸され、2011年3月には九州新幹線が全線開業、利用状況は前年比プラスとなっている。2010年12月にも東京−新青森間が開業しており、今後の利用者の増加が期待されている。地震に際しては、JR東日本によると、東北新幹線については2011年4月29日から全線で運転再開するも一部区間においては徐行運転を実施、同年9月下旬より通常ダイヤでの運転としている。この業界も震災の影響を受けたと言えよう。 競争激化で厳しさを増す陸運業界トラックは日本の物資輸送の9割を担い、日本の物流には欠かせない存在。だが、新規事業者参入による競争の激化、燃料価格の高騰、高額な高速道路使用料、環境問題への取り組みなど、業界を取り巻く環境はかなり厳しいのが現状だ。この難局を乗り越えるには、3PL(物流・倉庫業界の項参照)や宅配便など、付加価値の高いサービスを展開していくことが不可欠。 基幹空港の発着枠拡大航空各社は不採算路線の廃止、機内サービスの縮小、燃費のよい機体の導入など収益向上を図っている。2010年には、成田空港で年間発着枠が20万回から22万回に拡大し、中東やマカオなど新規路線が増加。発着回数は今後も約2%のペースで伸びが予想されている。一方、都心へのアクセスに優れる羽田空港は2010年10月に4本目の滑走路が完成。国際定期便の就航が開始された。 2011年における海運業界の動向2011年は3月に起こった震災や欧州の財政金融問題、燃料油の高騰等の誘因により先進国の海運市況は低迷、その影響もあり外航海運各社の中間決算は落ち込みが見られた。国内では2012年3月末で適用期限を迎える予定だった「国際船舶に係る登録免許税の特例措置」、「外交船舶に係る固定資産税の課税標準の特例措置」等租税特別措置の延長が認められた。社団法人日本船主協会では、「2011年の不定期船市況は、好況期に発注された大量の新造船が竣工し供給過剰となったことや2010年末以降の豪州・ブラジル天候不順等に起因した鉄鉱石、石炭などの荷動きの落ち込みなどから上期にかけ低調に推移していたが、年後半には減速航海などによる船腹量の引締めや、中国の鉄鉱石輸入が堅調な伸びを示したことなどの要因から回復基調となった。2011年のタンカー市況は、減速航海等のコスト削減努力があったものの、欧米経済の不透明感を背景に荷動きの停滞や新造船の供給圧力などから低迷が続いた」と発表している。 |
業界関連用語
●整備新幹線
全国新幹線鉄道整備法に基づき、日本政府が1973年11月に整備計画が発表された5つの新幹線のこと。1)北海道:青森―札幌360km、2)東北:盛岡−青森179km、3)北陸:東京―大阪600km、4)九州:?鹿児島ルート 福岡―鹿児島257km、?長崎ルート:福岡―長崎118kmである。このうち、2)の盛岡―新青森間、3)の高崎―長野間、4)の?博多―鹿児島中央間はすでに開通している。
●LCC
ローコストキャリア(Low Cost Carrier)の略称で、今まで当たり前に行なってきたサービスを廃止もしくは有料化することや機体をより効果的に使うことなどにより、低価格の運賃で運航サービスを提供する航空会社。
具体的には、機内食やドリンクサービスの廃止もしくは有料化、インターネットからの航空券直接販売、使用料の安いLCC専用ターミナルの利用、正社員でなく契約社員の活用などによりコストを削減し、低価格化を実現している。
どんな仕事があるの?
●客室乗務員
飛行機のキャビン(客室)に常務。乗客の安全を確保し、サービスを提供する。豪華客船や新幹線、私鉄の特急電車などにも独自の乗務員がいる。
●航空整備士
航空機体の点検・整備を行う。部品の磨耗や老朽化、故障に常に細心の注意を払い、機体を安全な状態に保つ。
●運輸(鉄道)
駅員業務、車掌業務、運転士業務(要国家資格)を行う。
●技術(鉄道)
保線業務、電気・通信設備の保守業務、鉄道車両の整備などを行う。
物流・倉庫業界
3年ぶりに増加傾向
1976年にスタートした宅配便業界。国土交通省の発表によると、2010年度の宅配便取扱個数は、32億1,983万個。前年度と比較すると、8,289万個、2.6%の増加となり、3年ぶりに対前年度増加となった。宅配便(トラック)取扱個数については、インターネットなどを利用した通信販売に係る商品開発による需要拡大や各社の営業努力による新規需要開拓などにより前年度を上回った事業者もあることから、全体の実績として増加となっている。
また、航空等利用運送については、大手事業者が宅配便扱いから一般航空貨物扱いに注力したこと等により、昨年に引き続き荷量が減少となった。一方で、インターネットを利用したオークション等の需要拡大や営業努力により前年度を上回った事業者も見られる。
倉庫は「保管」から「配送センター」化へ
物流業界では今、M&A、共同物流の推進、施設の集約化の3つがニーズとしてあげられており、不況下の中でも大型物流施設の需要が堅調に推移している。また、倉庫といえば「保管」というイメージが強いが、近年、それがどんどん薄れてきており、現在、企業は在庫の削減や、ジャストタイム生産システム(JIT)によるリードタイムの軽減など、商品や部品を倉庫に保管する期間をいかに減らすかに注力している。このため、倉庫も輸送モードの異なる場面での「積み替え」や「配送センター」としての機能がどんどん重要になってきている。
荷主のパートナーとして効率化をめざす
貨物量は5年間で約10%減少するなど業界にとって局面は厳しい。しかし、最近では上述のように倉庫を使わずに消費者にダイレクトに届くケースが増えている。その意味で、倉庫業はロジスティクスのさまざまな面で荷主のパートナーとなって物流そのもののコストダウンやより効率的なシステムを構築していく必要がある。2001年の規制緩和によって、「倉庫を持たない」倉庫業者も生まれるなど、競争はますます激化しており、さらにここ数年、大規模な外資の攻勢も激しく、日本の倉庫業界にとっての大きな脅威となっている。
業界関連用語
●3PL(スリーピーエル)
サードパーティーロジスティクス(Third Party Logistics)の略。企業の流通機能全般を一括して請け負うアウトソーシングサービスのこと。荷主の立場に立った戦略的、効率的な物流を提案し、荷主の配送・在庫管理などの業務を、プランニングやシステム構築などを含め、長期間一括して請け負う。
●フォワーダー(forwarder)
荷主とトラックなど実際の運送を行う運送事業者との間に立ち、貨物の運送取扱、利用運送およびこれらに付帯する業務(運送関係書類の作成、通関業務、保険代理業など)を行うことを業とする者。