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[業界研究] 医療・福祉

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関連キーワード

概要

医療業界には、病院や診療所などの医療機関、製薬会社、医薬品卸、医療機器メーカーなどがある。また医療事務や入院患者給食、患者搬送、リネン・サプライなどの医療関連サービスもある。介護サービス業界は、要介護者などに対してさまざまな介護サービスを提供し、調剤薬局・ドラッグストア業界は、病院で医師が処方する薬や大衆薬などの小売を行う。

医療・介護サービス業界

増え続ける国民医療費

2010年度に病気やけがの治療のために医療機関に支払われた医療費は前年比3.4%増で過去最高の36兆67億円。高齢化や医療技術の高度化が原因と厚生労働省では見ている。一方、医療費抑制のために診療報酬の改定、薬価改定などもあって医療機関(病院、一般診療所、歯科)の経営が厳しくなっている。

病院、診療所、歯科いずれも減少傾向

診療報酬の引き下げや薬価引き下げなどの影響もあり、医療機関の競争は激化し、病院数は毎年減少している。2012年1月末時点で、全国の医療施設総数は17万6,989施設。そのうち病院が8,605施設、一般診療所が9万9,927施設、歯科が6万8,457施設となっており、前月との比較ではそれぞれ7施設、32施設、35施設の減少となっており、ゆるやかにではあるが施設、病床共に減少傾向にある(厚生労働省「医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」より)。診療科目では、病院、一般診療所ともに小児科、産婦人科の減少が目立つ。対策として、乳幼児・幼児加算などでフォローしているものの、これにより改善されているとは明言できない。尚、男性医師の増加割合に比べて女性医師の増加割合の方が高く、診療科目によっては女性の医師を望む声もあるため、今後益々女医の活躍が期待されている。

再診料改定で勤務医を救済?

2010年4月から外来の診療報酬のうち、再診料が改定された。これまではベッド数19床以下の診療所が710円、20床〜199床までの中小病院が600円と開きがあった。それを690円に統一するというのがその内容だ。これによって、病院の診療報酬が増え、診療所は逆に減ることになる。2012年の改定の際日本医師会など診療側の委員が、前回改定で引き下げられた診療所の再診料を710円に戻すよう求めたものの、保険者側の一部は逆に「引き下げるべきだ」と主張し、折り合わず。再診料のうち、1日2科目以上の診療を受診した際、2科目も再診料がかかる等の改訂を行なった。

1年間に一度でも介護保険を利用した人は過去最多の472万人

団塊世代の高齢化を控えて、介護ビジネスは今後も市場の拡大が予想されている。介護ビジネスに含まれるものとしては、訪問介護(ホームヘルプサービス)、通所介護(デイサービス)、短期入所介護(ショートステイ)、福祉用具貸与、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、ケアハウスなどがある。2010年度中に一度でも介護保険給付を受けた人は493万人と年々増加している(厚生労働省調べ)。こうした中、老人福祉施設への給食サービスや在宅配食サービス、福祉ロボットなどの市場が特に伸びており、今後も伸びが期待されている。

業界関連用語

●民間救急サービス
正式には「民間患者等搬送事業」といい、緊急性の少ない人の入退院や通院、転院、社会福祉施設への送迎時などに移動手段を提供しているサービスで、いわゆる公的救急車の出動回数を緩和するために、今後ニーズが増大することが予想される。

●レセプトオンライン化
保険医療機関・調剤薬局と審査支払機関などをレセプトコンピュータ処理システムによって結び、診療報酬、調剤報酬の請求データ(レセプトデータ)をオンライン化すること。メリットとしては、紙印刷が不要となり、レセプトの点数算定等が機械的にできるため、人的労力・経費の削減が可能である点。また全国規模で診療行為や薬の使用状況、病名と行為の関係等が分析できるようになる、データが蓄積されることで診療報酬改定の根拠となる情報が集まりやすくなり、適した診療報酬改定が行われる等がある。

●福祉ロボット
高齢者や身障者の生活支援、介護する側の負担軽減を目的に開発が進んでいるが、要求される技術レベルが非常に高いため、現在の市場はごくわずかであるが、今後大きな伸びが予想されている。

どんな仕事があるの?

MR
医療情報担当者。薬の販売先である病院や卸会社に薬の正しい情報を伝える。また、販売先からの薬への要望や意見を取りまとめる。

●医療コーディネーター
病院などで患者とその家族のサポートを行う。カルテの情報や治療内容を患者にわかりやすく解説、さまざまな相談に乗り、アドバイスを行う。

●医療事務
医療機関での受付、カルテ管理、さらにカルテを元に保険点数を計算し、レセプト(診察報酬明細書)を作成する。

●介護福祉士
国家資格の1つで、専門知識と技術をもって、身体上または精神上の障害で日常生活を営むうえで支障がある人に対し、入浴、排せつ、食事そのほかの介護を行う。

●社会福祉士
国家資格の1つで、身体上、もしくは精神上に問題を抱えていたり、環境上の理由で日常生活を送ることが困難な人やその家族の相談に応じて、適切なサービスの利用を紹介、諸手続きを行い、福祉施設や病院などの調整を行う。

ホームヘルパー(訪問介護員)
各都道府県や政令指定都市、市区町村、専門学校、民間団体が実施している養成講習を受講して、介護保険法に基づいた研修講座を修了することで資格を取得できる。1級、2級、3級の3種類がある。

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調剤薬局・ドラッグストア業界

拡大を続ける調剤薬局市場

2009年度の薬局調剤医療費は前年から7.9%増加して、5兆3,955億円だった(厚生労働省調べ)。年々薬局調剤医療費は増加傾向にある。尚、診療種類別国民医療費構成割合の内、同医療費の占める割合は16.2%。2009年の薬事法改正により、登録販売員がいれば、大型スーパー、コンビニエンスストアなどで第1類、第2類の一般医薬品の薬の販売が可能になった。調剤市場には総合商社、医薬品卸も本格的に参入してきていることから、今後、調剤薬局市場は、ドラッグストア市場とともに再編の動きをますます加速化させていくと見られている。

生き残りをかけて質の高いサービス提供を目指す

多くの調剤薬局は、患者ごとの薬歴管理システムを整備している。このシステムによって、たとえば複数の病院にかかっている場合、それぞれで処方された薬が重複したり、危険な飲み合わせだったりするようなことが避けられるというメリットがある。地域密着型の独立系調剤薬局は、今後、こうした質の高いサービスを提供することで、生き残りを図っていくと考えられる。

再編の加速が予想されるドラッグストア業界

薬だけでなく日用品から食品までの幅広い商品を、低価格で販売しているドラッグストア。ひとくちにドラッグストアといっても、「薬局」として営業許可を得ているものもあれば、「一般販売業」で営業許可を得ているものもある。日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が発表した「2010年度日本のドラッグストア実態調査」によれば、2010年度のドラッグストア総店舗数は1万6,259店舗(前年から288店増加)、総売上高も3.5%増の5兆6,308億円とプラス成長が続いている。

ただし、既存店の売り上げの伸びは鈍化。2009年6月には改正薬事法が施行され、一般用医薬品の販売方法の変化に対応するため、コンビニ業界との提携が加速。また、改正薬事法にあわせてスーパー・量販店などの異業種も参入を果たしており、業界再編が加速すると予想される。

業界関連用語

●薬事法改正
2009年6月1日施行。一般医薬品を第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品の三つに分類。そのうち、第二類医薬品と第三類医薬品について、コンビニやスーパーでも、「登録販売者」であれば販売することができるようになった。

●ジェネリック医薬品(後発医薬品
新薬には特許期間があるが、それが終了した後、新薬と有効成分や効能・効果、用法・用量が同じであり、しかも新薬に比べて低価格で売られるのがジェネリック医薬品。2010年前後に大型主力品の特許が相次いで切れたため、業界では「2010年問題」と言われた。

●スイッチOTC
医師の処方箋によらなければ使用できなかった医療用医薬品の中から、使用実績があり、副作用が少ないなどの要件を満たした医薬品を処方箋なしで購入できるよう一般用医薬品に変更したものをスイッチOTC薬という。医師からの処方の場合も、処方箋なしで購入した場合も薬の内容・効果に違いはない。

●セルフメディケーション
WHOの定義では、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調(minor ailments)は自分で手当てすること」。今後は疾病の予防・未病改善が重要とされる。

どんな仕事があるの?

薬剤師
医療機関や調剤薬局などで、処方箋に基づき薬の調合や服薬指導などを行う。大学の薬学部などで6年間の課程を終え、国家試験に合格する必要がある。

●調剤事務
調剤薬局での受付会計業務、薬剤師の調剤補助を行う。薬歴管理や薬品在庫管理も行う。

●登録販売者
2006年の薬事法改正(2009年6月施行)で新しく設置された資格。薬局やドラッグストアで一般医薬品の95%を占める第二類および第三類医薬品を販売する際に必要となる。高校卒業以上で実務経験1年以上などを満たせば受験資格がある。