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[業界研究] 人材サービス(派遣・紹介・アウトソーシング)
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概要「仕事量が急に増えたので人材を確保したい」「新規事業の立ち上げにあたって、必要な能力を持った人を必要な人数集めたい」といった企業の要望を聞き、ぴったりの人材を派遣・紹介・斡旋する。コールセンター業務や経理、人事管理など、一部の業部を丸ごと請け負うケースもある。 人材派遣・人材紹介・アウトソーシング業界企業の求めに応じて必要な人材を派遣、紹介する自社の目的に合わせて効率的に人材を採用したいとする企業と、自分に合った仕事や働き方を探している人。その双方のニーズを聞きながら、納得のいく出会いをサポートするのが人材サービスだ。そのうち代表的なのは、企業が求める人材を必要に応じて派遣する「人材派遣」だが、ほかにも企業の業務の一部を丸ごと請け負う「アウトソーシング」や、即戦力となる人材を紹介・斡旋する「人材紹介」、軽作業や製造現場を中心とする「請負」などがある。 景気後退で市場は厳しい状況に人材サービスは1986年に労働者派遣法が施行されて以来、規制緩和、少子化、女性の社会進出などを背景に順調に業界規模を拡大させてきた。しかし、2008年秋以降の急激な景気後退で国内企業の雇用環境が激変。主に製造業で派遣労働者の大幅な削減が行われ、「派遣切り」という言葉が毎日のように報道される事態になった。苦戦を強いられているのは人材紹介、技術者派遣、事務系派遣も同様だ。 「専門26業務」と「自由化業務」派遣で働ける職種は政令によって、大きく2つに分類されて定められている。一つが、「ソフトウエア開発」「通訳、翻訳、速記」「秘書」「取引文書作成」「広告デザイン」「アナウンサー」などの「専門26業務」、もう一つが一般事務や販売などの「自由化業務」である。専門26業務の派遣には、受け入れ期間の制限がないが、自由化業務の場合は原則1年、更新して最長で3年までという期間が定められている。 近年の派遣業界、人材紹介業界の動向矢野経済研究所による「人材ビジネス市場に関する調査結果2011」によると、2010年度の市場規模は、前年度比94.0%の4兆4,500億円。2010年度は景気回復傾向にあったため昨年より状況も回復したが、2008年以降の派遣へのイメージの悪化等もあり完全に回復するまでには至っていない。2011年前半、前年からの景気回復傾向が見られた矢先、震災が起こり製造業を中心に雇用が冷え込んだ。派遣先となる企業がサービス利用に慎重であり、需要回復までには至っていない模様。 |
業界関連用語
●紹介予定派遣
2000年12月より可能になった制度。正社員の仕事を探す人と、正社員採用を目指す企業が利用するもの。直接雇用を前提に、まずは一定期間「派遣」の形態で企業に就業したあと、自身と企業双方の希望が一致すれば直接雇用に切り替わるシステム。専門26業務、自由化業務に関わらず、派遣期間の上限は6カ月。
●二重派遣
派遣会社から派遣された労働者を、その派遣先がさらに別の会社に派遣すること。二重派遣は使用責任者があいまいになることから労働者の安全対策などで問題が生じることが予想されるため、法律で禁止されている。
●雇用保険法の一部改正
2010年4月1日から、雇用保険法の一部が改正され、これまで派遣労働者については「6カ月以上の雇用見込みがあること」が条件だったのが、「31日以上の雇用見込みがあること」に改正された(1週間あたりの労働時間が20時間以上であることは変わらず)。
●専門26業務派遣適正化プラン
2010年、厚生労働大臣により発令された。専門26業務を行う場合に、まったく無関係の業務を行っている場合や、付随的に行う業務の割合が規定の数値を超えている場合においては、専門26業務には該当せず、期間の制限の適用を受けると定めたもの。発令された理由としては、派遣可能期間の制限を免れることを目的として、契約上は「専門26業務」と称しつつ、実際は業務の解釈を歪曲・拡大するなどして、それ以外の業務を行うことが問題になったことが挙げられる。しかし、特に事務関連業務で問題となっていたため、多くの派遣労働者が失業してしまったという報告もあり、深刻な事態となっている。