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[業界研究] 食品

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概要

食品業界では、調味料・油・小麦粉などの食品原料、パン・菓子・冷凍食品などの加工食品、ビール・清涼飲料水・コーヒーなどの飲料を開発・製造し、スーパーやコンビニなどの小売店を通じて消費者に提供している。

消費者のニーズに応じた、安心・安全でおいしい食品を提供することで、豊かな国民生活の実現に貢献している。

食品業界

生命産業ともいわれる食品産業にも変化のきざし

生鮮食品、加工食品、外食と大きく3つのルートを経て消費者に提供される食品

2017年3月に公表された「平成27年農業・食料関連産業の経済計算(概算)」によれば、2015年における農業・食料関連産業の国内生産額は、前年比4.1%増の111兆8,479 億円で、全経済活動の11.2%を占める大きな規模だ。

部門別では、農林漁業が12兆1,974億円、食品製造業が36兆5,253億円、関連流通業が31兆563億円、外食産業が27兆8,526億円となっている。
“食”は人間にとって欠くことができないだけに不況に強い産業とされており、その規模は徐々に拡大しているが、少子高齢化が進む国内食品市場については決して楽観できる状況とはいえない。

しかし一方で、今後は電子レンジを使わないなどの節電・エコを意識した食品や、高齢者向けの介護食市場、食事の宅配などの発展が期待される分野もある。

富士経済の調査によると、高齢者向け食品市場は1,700億円規模に拡大すると予想、高齢者数や高齢者福祉施設入所者数の増加に伴い需要が増加、市場は拡大傾向にある。また、在宅介護強化の流れが強まっていることもあり、在宅用のやわらか食市場でも、薬局や薬店での販売も増え、さらなる拡大が期待されている。

矢野経済研究所では、2016年7月〜9月に介護食市場の調査を実施。2015年度の介護食市場規模は加工食品が991億円(前年度比103.7%)、調理品が4,942億円(同101.6%)となった。高齢者施設・病院の現場や在宅配食などの調理品、加工食品も、介護食の割合が増加しているとした。

なお、総務省統計局の「人口推計」によると、2017年3月1日現在の日本の総人口は概算で1億2,676万人、うち65歳以上の高齢者人口は3,486万人で全体の27.5%を占める。
この比率は、今後さらに増加すると見られており、影響は大きいだろう。

沈静化するインバウンド需要に替わって機能性表示食品が市場を押し上げる

矢野経済研究所が2016年8月〜12月に実施した調査によれば、2016年度の健康食品市場(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比100.9%の7,500億円を見込んでいる。

2015年度は訪日外国人観光客(インバウンド)需要による市場の押し上げ効果が強かったが、2016年度は沈静化したようだ。
ただし、2015年4月より機能性表示食品の販売がスタート。2015年度は446億円だった機能性表示食品の市場規模を、2016年度は1,483億円と見込んでおり、確実に市場を押し上げている。

機能性表示食品数自体も増加しており、2017年度についても引き続き市場の押し上げ効果が期待されている。

国内市場から海外市場への展開が加速

少子高齢化や国内人口の減少により、中長期的には国内市場は縮小すると見込まれている。

さらに、円安の進行による原材料価格の高騰や、安価なPB商品(小売店などが独自ブランで販売する商品。プライベートブランド商品)の導入による価格競争の激化は、収益の圧迫要因になっている。

一方で、国内においては介護食など成長が見込める分野もあり、大手メーカーを中心に海外市場での展開が加速している面もある。

主に、成長の見込めるアジア諸国や新興国において、現地法人の設立や現地食品メーカーの買収などを進めている。

新しくなった食品表示法が施行

食品の原材料、添加物、カロリー、消費期限などの表示方法を統一する新しい食品表示法が2015年4月1日に施行された。

これまでは、食品衛生法、JAS法、健康増進法の3法でそれぞれの目的に応じて表示方法が規定されていたが、それを一元化し、よりわかりやすい表示を目指して現行制度の見直しを行った。

主な変更点は以下3点。

・アレルギー表示の変更
・加工食品の栄養成分表示の義務化
・新たな機能性表示制度の創設

従来はマヨネーズやパンのように卵や小麦といった原材料が予測できると考えられていた食品ではアレルゲン(アレルギーの原因となることが知られている食品)の表示は必要なかったが、「アレルギー表示の変更」によって、今後はすべてのアレルゲンを明記することになった。

「加工食品の栄養成分表示の義務化」では、消費者向けのすべての加工食品に熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物およびナトリウムの表示が義務化された。

また、「新たな機能性表示制度の創設」では、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持および増進に役立つ)という食品の機能性を表示することができる「機能性表示食品」の制度ができた。

ただし、「機能性表示食品」は一定の科学的根拠に基いて消費者庁長官に届け出た食品を、事業者の責任において表示するもので、個々の製品ごとに消費者庁長官の許可を得た「特定保健用食品(トクホ)」とは異なっている。

食品会社に求められる高いレベルでの「食の安全」への意識と対応

徹底した衛生管理が求められる食品業界。「食の安全」については高い意識を持って販売しているはずだが、近年、食品金属片やプラスチック片、虫、カビなどの異物が混入していたとして、メーカーが自主回収するケースが増えている。

数千万個単位の個数で自主回収するケースもあり、異物混入による自主回収は、企業経営においても大きな影響を与えることになる。一般財団法人食品産業センターによれば、健康危害の大きさによって製品回収の必要度も変わってくるとしている。あくまで一般的な状況であるが、食中毒菌や有害な化学物質が含まれる場合は回収が必須だが、毛髪やビニール、虫などの混入は健康危害の可能性が少ないとされ、“当事者間で解決”が判断基準となっている。

しかし、インターネットが普及している昨今、虫などの異物が混入している写真やメーカーとのやりとりを録音した会話などの情報が、ネットを通じて一気に拡散する可能性がある。
メーカーが対応を誤ると、これまで築き上げたブランドイメージや信頼を一瞬にして失ってしまうことになる。

これまでは、メーカー側だけが情報を発信していたが、いまでは消費者も自由に情報を発信できる対等な関係にある。問題が起こった場合に、どのような情報を発信するのか、どのように対応するのか、高いレベルでの製造だけでなく、その後の高いレベルでの対応も求められている。

豆知識

消費期限と賞味期限の違い

農林水産省の定義によれば、お弁当や洋生菓子など、長く保存がきかない食品に表示されているのが消費期限。
開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、食べても安全な期限を示しており、消費期限内に食べることが求められている。

一方、ハム・ソーセージ・スナック菓子・缶詰など、冷凍や常温で保存がきく食品に表示されているのが賞味期限。
開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、おいしく食べられる期限を示したもので、賞味期限を過ぎると食べられなくなるわけではない。

特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品とは

「おなかの調子を整えます」や「脂肪の吸収をおだやかにします」といった特定の機能を表示することができる商品として、「特定保健用食品(以下トクホ)」がよく知られているが、2015年4月に新しく加わったのが「機能性表示食品」。大きな違いは国(消費者庁)の審査の有無。

「トクホ」は、事業者が最終製品によるヒトでの試験を実施、科学的に根拠を示した上で申請し、食品ごとに国の許可を取得する必要がある一方で、「機能性表示食品」は、必ずしも最終製品によるヒトでの試験は必要なく、文献や論文を引用することによって科学的に根拠を示すことができる。また、販売前に事業者の責任で国に届けるだけでよく、国の審査はない。

「トクホ」では、実験や検査などの製品開発にコストと時間がかかり、さらに申請から許可を得るまでの時間も長い。他方「機能性表示食品」は、すでにある文献や論文を引用でき、届出が受理されれば商品を販売できるという魅力がある。ただし、国の許可がある「トクホ」はある意味で国が責任を負うことになるが、「機能性表示食品」については事業者が責任を負うことになる。

業界関連用語

●ミドリムシ(ユーグレナ)
ミドリムシを原料とした食品が話題になっている。
ミドリムシは0.05mmほどの微生物(ワカメやコンブと同じ藻の一種)で、動物と植物の両方の特徴を持つ不思議な生き物。

ビタミン、ミネラル、アミノ酸など59種類もの栄養素を備えており、栄養補助食品やサプリメントとして各社から様々な商品が販売されている。

また、光合成によって二酸化炭素を吸収し成長するときに作り出す油脂分は、バイオ燃料の元としても期待されている。


●FCP
FCPは、農林水産省が立ち上げたプロジェクトで、Food Communication Project(フード・コミュニケーション・プロジェクト)の略。

食品の製造や加工に関わる食品事業者、外食産業などの関連事業者、行政、消費者などが連携することで、「食」の信頼性向上に取り組んでいる。

食品が食卓まで届くフード・チェーンは長く複雑なため、一食品事業者や一関連事業者の個別の努力だけでは、消費者の「食」への信頼を高めることは困難な状況である。

そのため、FCPでは、立場が違う様々な事業者と消費者との対話や、食品事業者が実際にどのような取組みを行っているかがわかる「行動の見える化」などを進めることで、消費者からの信頼を得ようと多様な活動を行っている。


●HACCP
HACCPとは、Hazard Analysis(危害要因の分析)とCritical Control Point(重要管理点) のことで、もともとは米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の方式である。

従来、「食品の安全性」を確保するには、食品を製造する工場などの整備や環境を清潔にすることに重点をおき、安全性の確認は最終製品の抜き取り検査によって行われていた。

しかし、それだけでは危険な食品が市場に出ていくことを完全に排除できない。

そのためHACCPでは、従来の方式に加え、原料の入荷から製造、出荷にいたるすべての工程であらかじめ危害を予測し、その危害を防止するための重要管理点を特定、管理点を継続的にモニタリングすることで、危険な商品の出荷を未然に防ぐことを目指す。

さらなる食品の安全性と品質管理の徹底が社会から求められている現在、HACCPの導入が促進されている。

どんな仕事があるの?

マーケティング
市場をリサーチ・分析し、新商品の開発や既存商品のリニューアルを考案する。商品の魅力を消費者に伝え、購買意欲をかき立てるようキャンペーンの立案・企画なども行う。

商品開発
原料の選定から、調合、賞味期限の設定など、工場での生産システムの検討を行い、商品を作る。

営業
スーパーやコンビニエンスストアなどの小売店に自社商品を売り込む。売り上げをアップさせるため、キャンペーンなどの企画も行う。

広報
マスコミや消費者からの問い合わせに対応する。消費者との接点が多く、近年の食の安全に対する関心の高さから、誠実かつ迅速な対応が求められる重要なポジションといえる。