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[業界研究] 食品
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概要食品業界では、調味料・油・小麦粉などの食品原料、パン・菓子・冷凍食品などの加工食品、ビール・清涼飲料水・コーヒーなどの飲料を開発・製造し、スーパーやコンビニなどの小売店を通じて消費者に提供している。 食品業界生命産業ともいわれる食品産業にも変化のきざし生鮮食品、加工食品、外食と大きく3つのルートを経て消費者に提供される食品。 沈静化するインバウンド需要に替わって機能性表示食品が市場を押し上げる矢野経済研究所が2016年8月〜12月に実施した調査によれば、2016年度の健康食品市場(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比100.9%の7,500億円を見込んでいる。 国内市場から海外市場への展開が加速少子高齢化や国内人口の減少により、中長期的には国内市場は縮小すると見込まれている。 新しくなった食品表示法が施行食品の原材料、添加物、カロリー、消費期限などの表示方法を統一する新しい食品表示法が2015年4月1日に施行された。 食品会社に求められる高いレベルでの「食の安全」への意識と対応徹底した衛生管理が求められる食品業界。「食の安全」については高い意識を持って販売しているはずだが、近年、食品に金属片やプラスチック片、虫、カビなどの異物が混入していたとして、メーカーが自主回収するケースが増えている。 |
豆知識
消費期限と賞味期限の違い
農林水産省の定義によれば、お弁当や洋生菓子など、長く保存がきかない食品に表示されているのが消費期限。
開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、食べても安全な期限を示しており、消費期限内に食べることが求められている。
一方、ハム・ソーセージ・スナック菓子・缶詰など、冷凍や常温で保存がきく食品に表示されているのが賞味期限。
開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、おいしく食べられる期限を示したもので、賞味期限を過ぎると食べられなくなるわけではない。
特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品とは
「おなかの調子を整えます」や「脂肪の吸収をおだやかにします」といった特定の機能を表示することができる商品として、「特定保健用食品(以下トクホ)」がよく知られているが、2015年4月に新しく加わったのが「機能性表示食品」。大きな違いは国(消費者庁)の審査の有無。
「トクホ」は、事業者が最終製品によるヒトでの試験を実施、科学的に根拠を示した上で申請し、食品ごとに国の許可を取得する必要がある一方で、「機能性表示食品」は、必ずしも最終製品によるヒトでの試験は必要なく、文献や論文を引用することによって科学的に根拠を示すことができる。また、販売前に事業者の責任で国に届けるだけでよく、国の審査はない。
「トクホ」では、実験や検査などの製品開発にコストと時間がかかり、さらに申請から許可を得るまでの時間も長い。他方「機能性表示食品」は、すでにある文献や論文を引用でき、届出が受理されれば商品を販売できるという魅力がある。ただし、国の許可がある「トクホ」はある意味で国が責任を負うことになるが、「機能性表示食品」については事業者が責任を負うことになる。
業界関連用語
●ミドリムシ(ユーグレナ)
ミドリムシを原料とした食品が話題になっている。
ミドリムシは0.05mmほどの微生物(ワカメやコンブと同じ藻の一種)で、動物と植物の両方の特徴を持つ不思議な生き物。
ビタミン、ミネラル、アミノ酸など59種類もの栄養素を備えており、栄養補助食品やサプリメントとして各社から様々な商品が販売されている。
また、光合成によって二酸化炭素を吸収し成長するときに作り出す油脂分は、バイオ燃料の元としても期待されている。
●FCP
FCPは、農林水産省が立ち上げたプロジェクトで、Food Communication Project(フード・コミュニケーション・プロジェクト)の略。
食品の製造や加工に関わる食品事業者、外食産業などの関連事業者、行政、消費者などが連携することで、「食」の信頼性向上に取り組んでいる。
食品が食卓まで届くフード・チェーンは長く複雑なため、一食品事業者や一関連事業者の個別の努力だけでは、消費者の「食」への信頼を高めることは困難な状況である。
そのため、FCPでは、立場が違う様々な事業者と消費者との対話や、食品事業者が実際にどのような取組みを行っているかがわかる「行動の見える化」などを進めることで、消費者からの信頼を得ようと多様な活動を行っている。
●HACCP
HACCPとは、Hazard Analysis(危害要因の分析)とCritical Control Point(重要管理点) のことで、もともとは米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の方式である。
従来、「食品の安全性」を確保するには、食品を製造する工場などの整備や環境を清潔にすることに重点をおき、安全性の確認は最終製品の抜き取り検査によって行われていた。
しかし、それだけでは危険な食品が市場に出ていくことを完全に排除できない。
そのためHACCPでは、従来の方式に加え、原料の入荷から製造、出荷にいたるすべての工程であらかじめ危害を予測し、その危害を防止するための重要管理点を特定、管理点を継続的にモニタリングすることで、危険な商品の出荷を未然に防ぐことを目指す。
さらなる食品の安全性と品質管理の徹底が社会から求められている現在、HACCPの導入が促進されている。
どんな仕事があるの?
●マーケティング
市場をリサーチ・分析し、新商品の開発や既存商品のリニューアルを考案する。商品の魅力を消費者に伝え、購買意欲をかき立てるようキャンペーンの立案・企画なども行う。
●商品開発
原料の選定から、調合、賞味期限の設定など、工場での生産システムの検討を行い、商品を作る。
●営業
スーパーやコンビニエンスストアなどの小売店に自社商品を売り込む。売り上げをアップさせるため、キャンペーンなどの企画も行う。
●広報
マスコミや消費者からの問い合わせに対応する。消費者との接点が多く、近年の食の安全に対する関心の高さから、誠実かつ迅速な対応が求められる重要なポジションといえる。