台湾東海大学への留学を決めたのは、将来的に英語だけではなく中国語も生かして仕事をしたいなと考えていたからです。しかし、入学前に中国語はしっかり勉強していたつもりでしたが、一対一で話すことは問題なくできても、中国語での授業についていくのは大変でした。特に最初の1年間はすごく苦労しましたが、少しでも早く言語能力を伸ばせるよう、授業では一番前に座ることを徹底し、何か疑問点があれば授業の後に必ず教授に質問するようにしました。とにかく、朝から晩までみっちりと人一倍勉強しました。

就活は4年生の秋からスタート。コロナ禍ということもあり、企業の採用もオンライン化が進み、台湾にいても情報収集には苦労しませんでした。就活の軸にしていたのは、「日本の技術を世界に発信できる企業で働くこと」です。台湾で暮らすなかで、衣食住すべての分野において日本の技術の素晴らしさを実感しました。とはいえ、もともとは一般消費者向けの製品を手掛けるBtoC（Business to Consumer）企業しか視野に入っていませんでした。しかし、三井化学と出会って、あらためて企業向けに製品やサービスを提供するBtoB（Business to Business）企業の魅力を実感しました。特に、化学メーカーが扱う製品の分野はとてもすそ野が広く、身のまわりのあらゆる製品に活用されていることに大きな魅力を感じました。

内定は三井化学をはじめ、総合電機、精密機器、ゲーム・玩具、インテリア関連のメーカーをはじめ、IT関連など、いくつかの企業からいただきました。どこも魅力的な企業でしたが、最終的に三井化学に入社を決めたのは、“人の良さ”が実感できたからです。三井化学の面接では、じっくり時間をかけて私の話を聞いてくださり、自然体のままで面接に臨むことができました。この会社なら、ありのままの自分の姿で仕事ができるに違いないと思えたのです。また、一般的なBtoCメーカーの営業職では、できあがった完成品を販売する仕事が中心になりますが、化学メーカーの製品は用途が非常に幅広いこと、お客様と一緒になって新しい製品を開発していけること、とにかく自分が活躍できる範囲が広いところが魅力でした。

現在は、コーティング・機能材事業部の工業材料グループに所属し、高付加価値の少量多品種製品を多種多様な市場に提供することをミッションとして、市場ニーズに合わせた製品を多くの顧客に販売しています。具体的には、切符、コンビニ弁当のラベル、マスキングテープなどに使用される紙のコーティング材を扱っており、まずは市場ニーズを調査し、お客様の要望をもとに研究開発担当や、工場の方々の協力を得て製品の改良を行い、完成した製品を提供します。できあがった製品を単純に販売する営業ではなく、マーケティングや開発にも携わりながら、お客様のニーズに合った製品を製造し提供するのが特徴です。

担当する企業様は100社近くあり、担当製品は180種にも上ります。既存製品の場合は、注文を受けて工場と出荷調整をしたり、受注数量を管理したり、数量差異の原因調査などを行います。納期や価格などさまざまな交渉も担当します。また、取引をさらに伸ばしていくために市場ニーズを調査しながら、既存の製品にどのように新たな機能を付加すればいいか、新たな用途開拓などの業務も行います。

新製品を市場に出すチャンスはなかなかないのですが、実は今、食品用耐油コート材の開発品（立ち上げ）に主担当として関わっています。これは、ハンバーガーや唐揚げの包装などの使用を目的としたもので、脱フッ素などの環境対応につながる製品です。展示会への出展で市場ニーズを把握しました。入社2年目の私にとっては大役ですが、大きなチャンスでもあります。担当が決まってから技術的な知識を身に付け、約1カ月で60社ほどのお客様に製品紹介を行い、市場ニーズを探りました。その後、サンプル評価のフィードバックを受け、研究担当の方に改良を依頼しているところです。

三井化学では、入社年次に関係なく、やる気次第でどんどん活躍の場が与えられます。私の場合は6月に配属されて、すぐに台湾、東南アジア圏、ヨーロッパなどを担当させていただきました。特に、留学先でもあった台湾を担当することになったことはとてもうれしかったです。台湾とのやり取りでは中国語を使う機会も多く、現地のお客様向けに中国語版の技術資料を作成することもあります。台湾市場の開拓は自分が強く望んだ業務ですが、留学経験を通じて身に付けた語学力を生かし、マーケットの拡大に貢献できるチャンスをもらえたこと、それも入社1年目の社員に裁量権をもたせて業務ができていることに、大きなやりがいを実感しています。

もちろん、仕事は大変に感じることもあります。担当する製品数や顧客数は多いですし、専門的な知識を身に付けるための勉強も欠かせません。それでも、仕事が辛いと思ったことは一度もありません。仕事は毎日とても楽しいです。というのも、同じ部署の皆さんがいい人ばかりで、本当に職場環境がいいのです。社内の風通しの良さは、三井化学の最大の魅力だと、学生の皆さんに自信を持って自慢できます。

三井化学が扱う製品は非常に幅が広いのに加え、市場のニーズに対して自分たちが持っている技術力を活かしてどんどん深掘りしていけるのが特徴です。それに、私たち化学メーカーが生み出す製品は、社会に大きな変革をもたらすゲームチェンジャーとしての側面もあります。たとえば、学生の皆さんにも身近なリチウムイオン電池も、化学の力で0から1が生み出され、社会と暮らしに大きな変化をもたらしました。

0から1を生み出すのは開発部門の業務ではありますが、市場のニーズをキャッチして社内にフィードバックし、開発に成功した製品を世の中に広めることは営業担当者に任された重要な役割です。主体的に行動できる方にとっては、まさにうってつけの仕事です。三井化学は、化学が生み出す製品を通じて持続可能な世界の実現に貢献したい方、化学の力で暮らしに変革をもたらしたい方には、大きなやりがいを実感できる会社だと思います。