グローバル就職のための
お役立ちコラム
留学未経験の私が海外駐在のチャンスをつかんだ理由
国内で経理・会計スキルを磨き、インドネシアの生産拠点へ
留学未経験の私が海外駐在の
チャンスをつかんだ理由
国内で経理・会計スキルを磨き、
インドネシアの生産拠点へ

自動車メーカー勤務
インドネシア在住 K.R.さん
経済学部現代ビジネス学科を卒業後、自動車メーカーに入社。地区経理部、本社管理会計部を経て、インドネシアに駐在。現地の製造拠点のコスト管理を一手に担う。
日本のプレゼンスを海外に知らしめたい―留学経験のない私が、日本のグローバル企業に就職した理由
私は日本の大学で経済学を学び、卒業後、日系の自動車メーカーに就職しました。現在はインドネシアに駐在していますが、留学経験は一切ありません。そもそも、大学に通っていた頃の私は、将来に対して明確なビジョンがありませんでした。そんな私が、どのような経緯で自動車メーカーに就職し、海外駐在をするようになったのかをお話します。
学生時代、私は専攻していた経済学の勉強と並行し、独学で英語を学んでいました。やりたいことが見つかっていないからこそ、可能性を狭めたくない。このような気持ちから英語の勉強を続けていました。
大学3年生になって就職活動を始めると、元々自動車が好きだったこともあり、すぐに自動車メーカーへの就職を意識しました。皆さんも日本の自動車が海外で高く評価されていることを知っていると思います。私は、日本の技術が集約された自動車を世界に広めることで、日本のプレゼンスを高めることに貢献したいと思いました。
実際に就職活動を進めていくと、留学経験のある学生が多くいることに気づきました。選考基準にTOEICのスコアを設ける企業もあり、「留学未経験であることが不利になる」と感じました。そこで、内定獲得に向けて、戦略を練ることにしました。幾つかの企業が選考でグループディスカッションを課していたことから、自動車業界では「チームでものごとに取り組む力や、他者の意見を尊重しながら1つのものごとを進める力を求めている」と推測。面接では、「自動車が好き」という情熱に加えて、スポーツで身につけた「チームワーク」をアピールしました。そして、「配属希望はありますか」という質問に対して、「海外事業を担当したい」と伝えました。最終的に、自動車部品サプライヤー含め、4社から内定をいただき、国内外で豊富な実績を持つ日本の自動車メーカーに入社しました。
本社で管理会計に従事していた頃、海外駐在のチャンスを得る
最初の配属先は、地区経理部に配属となり、国内にある製造拠点の経理業務に携わりました。担当は「固定資産」で、売廃却時の除却処理や減損処理など、固定資産帳簿上の管理を主にしていました。他には、固定資産税や事業所税の算出・申告業務も担当していました。
大学で簿記の授業を履修してはいたものの、経理に関しては専門外です。それでも、地区経理部で経理業務に携わるうちに、「会計のスキルをさらに高めたい」と思うようになりました。それから上司に異動希望を伝え、本社の管理会計部に異動しました。管理会計部では、「海上輸送費」を担当し、主に海運業者への支払の管理や予実管理をしていました。予実管理では、台数変動影響・経済変動影響・為替影響・コスト低減影響といった具合に増減の内訳を算出し、物流部門にフィードバックするのが重要なタスクでした。
こうして経験を重ねて数年が経った頃、駐在のチャンスが舞い込んできました。海外駐在をしていた社員が任期を終えて帰任するため、後任者として上司が私を推薦してくれたのです。
突然の辞令で本当に驚きました。当時の私は20代後半で、そもそも海外駐在のポジションは限られています。駐在先の環境でも適応できると信じて上司が私を選んでくれたことに感謝し、辞令をありがたく拝命しました。
異なる環境や商習慣を理解し、キーパーソンとなって海外拠点を率いる
駐在先はインドネシアで、年間の最大生産能力22万台に及ぶ一大生産拠点です。ここからASEANを始め中東、アフリカ、中南米、オセアニアなど約60か国に輸出しています。Management Accountingのマネージャーとして部下の現地スタッフ4名とチームを組み、拠点内のコスト管理を一手に担っています。日々のルーティン業務は主に現地スタッフが行っており、私自身はチームのマネジメントや日本との窓口業務をしています。会社全体の損益管理が私の使命であり、予算策定は勿論のこと、予実管理を通して見つけた経営課題を経営陣に報告しています。日本や海外からの視察団の対応も、駐在員である私たちの大事な仕事です。
現地の税法や商習慣、事業構造には関しては全くといっていいほど知識が不足していたため、最初は苦労の連続でした。また、言葉の壁にも直面しました。駐在してすぐにオンライン英会話を習い始めましたが、短期間の学習で対応できるほど甘くはありません。結局、「実践の場で鍛えていくしかない」と、気持ちを切り替えました。駐在して3年が経った現在は、現地スタッフとストレスなく英語でやり取りできています。インドネシアの人々にとっても英語は第二外国語で、そこまで高度な表現を使うことはあまりありません。聞き取れない時は素直に聞き直し、徐々に慣れていきました。
仕事の進め方は、基本的には日本と変わりませんが、駐在員は日本との窓口になります。日本の方針や依頼事項を現地スタッフにわかりやすく伝え、同じ方向を向いて仕事ができるようフォローする力が求められます。日々のルーティンワークはあまりなく、打ち合わせが頻繁にあります。日常的に拠点内の各部門や日本から相談が来ますし、私の方からも、実績や見通しの中で感覚的に違和感のある数字を見つければ、関連部門にヒアリングを行い、状況を把握するようにしています。
駐在員は日本とは異なる環境に身を置き、現地の商習慣や文化を理解し、現地のスタッフと一緒に働きます。大きな裁量を与えられ、現地スタッフでは対応が難しい業務を担うため、日本に勤務していた頃よりも高度なスキルが求められます。時には利害関係のある関連部門と折衝を行うこともあり、体力や粘り強さが不可欠です。
そして、謙虚な姿勢も求められます。現地スタッフと信頼関係を築き、キーパーソンとなって拠点を率いていく。これこそが、駐在員に求められる大切なマインドなのだと思います。
多くの学びと成長を得られる海外駐在の仕事に、ぜひチャレンジしてほしい
海外駐在に語学力は必須ですが、語学力が全てではありません。駐在先では、年齢や部門に囚われることなく、良好な人間関係を築く必要があります。異国であるが故に人間関係が狭く、「ウェットな人間関係」が存在するため、自ら心を開いて自己開示することが重要です。そうして公私共に苦楽を共にできる「仲間」を持つことは、長い任期を全うする上で非常に重要な要素だと思います。また、異国で事業を展開するのですから、現地の文化や人々を敬う気持ちも当然ながら必要です。管理会計部時代の上司とは、公私共に親しくさせていただいていたので、私の仕事ぶりに加え、人付き合い含めた人となりも見た上で、「駐在員として異なる環境でも対応できる」という安心感を持ってくれたのかもしれません。
海外駐在員になってから3年が経った今、私をインドネシアに送り出してくれた上司に心から感謝しています。海外駐在は確かに苦労もありますが、それ以上に学びや気付きが多く、私自身を成長させてくれます。視察に来た日本のCFOや本部長と会食をし、貴重なお話をたくさんお聞きしたこと。従業員とその家族が集まる社内行事で、8,000人以上の前で歌を披露したこと。日本で経験できない数々の貴重な経験が、私の宝物になっています。
もしも皆さんがグローバルな仕事に興味があるのなら、留学経験の有無に関係なく、ぜひ挑戦してほしいと思います。駐在員のポジションは限られていますが、皆さん自身の努力でチャンスをものにすることができます。そのためには、まずは企業選びから考えることが大切です。若手でも海外駐在することができるのか。若手社員向け海外派遣制度があるかなど、社内制度を確認することもおすすめです。そして、入社したら目の前の業務に励むこと。志をもって目の前の目標をひとつひとつクリアしていき、ぜひ自分の理想とするキャリアを追いかけてください。