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人生の幸福度がぐっと上がる「天職」を見つけよう!

「天職」とは、自分の力を最大限に発揮し、
人や社会に貢献できる仕事

人生の幸福度がぐっと上がる

「天職」を見つけよう!

「天職」とは、自分の力を最大限に発揮し、
人や社会に貢献できる仕事

佐藤 香里

ビジネスコンサルタント&
天職研究家
佐藤 香里さん

東京外国語大学外国語学部スペイン語学科卒。2004年、外務省入省。 在ニカラグア日本大使館、在エクアドル日本大使館に駐在し、帰国後は政治家や皇室とスペイン語圏政府要人との通訳を務める。 岡山で大学講師をした後、渡英。天職研究に従事し、職業心理学修士を取得する。 現在は日本企業向けに欧州スタートアップとの協業支援を行っているほか、 天職研究の知見を生かしてワークショップや天職発見セッション、経営アドバイスを実施。

天職とは自分が最も活躍でき、幸せを感じられる、自分にとってベストな仕事

学生の皆さんは、将来、どのような仕事に就きたいと思っていますか?希望する仕事に就くために、どのような会社に就職したいと考えていますか?

私が大学講師だった頃、よく学生の方から就職相談を受けていました。そして、「転勤したくない」「安定した仕事に就きたい」といった学生の皆さんの希望を聞きながら、今までの自分自身のキャリアを思い浮かべました。

世界で唯一の被爆国である日本の外交を通じて、「世界平和に貢献したい」という気持ちから、外務省に就職したこと。「人生は一度きり。自分の力で何ができるか試してみたい」と思い、外務省を退職したこと。ご縁あって大学で教えるようになり、当時あのように学生の皆さんと向き合ったこと。

学生の皆さんが安定志向に走る気持ちは、共感できるところも大きいです。一方で自分が持っているポテンシャルを最大限発揮できる仕事を見出すことが出来れば、きっと、自分の仕事に誇りを感じ、最高に満ち足りた人生になるだろうと思いました。そして、就職活動で悩む学生の皆さんたちに対して、何かしらのヒントを与えることができたらとも思いました。この思いがきっかけとなり、私は「天職」の研究をスタートしました。

「天職」に関する海外の論文を読み、天職研究のためイギリスへ留学。世界中の研究者が天職について色々な観点から研究し、研究結果に基づいてそれぞれ天職に対する定義をしていることを知りました。その定義の中で私が最も好きなのは、「他のどの仕事よりも最も社会や人に貢献でき、そして自分自身が最も幸せになれる仕事」というものです。仕事に迷う時はこの定義を基準に天職につけているだろうかとチェックしています。

研究でインタビューさせて頂く中で、日本では、「天職は、特別な才能を持つ一部の人だけに与えられた崇高な職業」と思っている方が多いという印象を受けました。そもそも、「自分は平凡だし、天職なんて見つかるわけがない」と思っている学生の方が多くいるのではないかと思います。一方で海外、特に欧米の人々は、学生も含めて「天職は自分が最も活躍でき、幸せを感じられるベストな仕事」と捉えている方が多いという研究結果が出ています。 ですから学生の皆さんには、天職は特別な人だけのものではなく、上記の定義を基準に考え、自分が他のどの仕事よりも最も活躍できる仕事は何だろう、ほかのどの仕事よりも最も自分がハッピーを感じられる仕事が何だろうと考え、自分にとってベストな仕事=天職として、天職はみんな一人一人に必ずあるものとしてとらえてほしいと思います。

スモールステップを積み重ねた先に、天職がある

では、どうやって天職を見つければよいのでしょうか。 その方法は人によって異なりますが、研究者たちは天職のヒントを教えてくれる「感情」というサインに気づくことが、自分の天職を知る有効な方法だと言っています。仕事の詳細はわからなくても、モチベーションや情熱を感じられたり、ワクワク感や「自分がこれをしなければ」といったような使命感、 自分の才能を活かせると思えたり、喜びを感じられると、それは天職である可能性が高いです。ですから学生の皆さんも、日々の生活の中から「感情」というサインに気づけるように意識されると良いと思います。 まだ仕事をしていないので感情を感じにくいかもしれません。そこで学生の皆さんにおすすめするもう一つの天職を見つける方法は「しっくり感」です。「この仕事に就いてみたら」と想像してしっくりきたなら、それは「天職」である可能性が高いと研究で言われています。また、天職は変わると研究者は指摘しているので、最初の就職で必ず天職に就かなければならないという気負いなどは持たなくてよいと私は考えています。

そして、根拠のない自信も大切な「サイン」です。例えばある小説家は小説を書く前から、「私は絶対に小説家になれる」と思っていたそうです。

私は日本のプロの漫画家の方を対象に天職研究を行ってきましたが、 私がインタビューさせて頂いた漫画家の方の多くが「これしかできない。 他の仕事だと自分は使い物にならない」とおっしゃられて、当初は驚きました。 一方で、インタビューさせていただいたほとんどの方が、漫画家という仕事を天職だと感じられており、 分析を行っていく中で「この仕事しかできない」という仕事に対する認識が漫画家として生きていくという、ある種の腹決めとなっていました。 そこでデビューに至るまでの長い道のりや苦労や困難もはねのけるレジリエンス力が備わり、 「これが私の生きる道」というような感覚も加わり、漫画家という職業に天職感を感じるようになっているのではないかと感じました。

もう一つ、漫画家の方を対象に行った天職研究から見えてきたことをお話します。 漫画家の方へのインタビューを通じて、私は「幼少期につらい経験をされていた漫画家の方が多く、そこから才能を開花させている」ということに気づきました。 例えばいじめを受け、その苦しみの中で漫画に癒され、漫画が支えてくれたので自然と漫画を好きになり、気がついたら自分でも描いていたと語って下さった方がいました。 つまり、困難が才能を開花させ、天職を見出すきっかけになっていたのです。 大きな困難や辛い出来事があった時に考え方を変えるにはパワーがいると思いますが、 「これは新しい自分を発見させるために起きている」「私が今身に着けようとしている能力や才能は何だろう」という視点を持つようトライしてみてほしいです。

逆に、まったく興味のない分野に天職を見出すケースもあります。大学講師時代、スポーツ好きで勉強にあまり関心のない学生がいました。それが私の授業を受けて「めちゃめちゃおもしろいですね」と開眼したのです。これは、アハ・モーメントといって、突然の洞察や発見の瞬間を意味します。「ワクワクする対象が見つからない」という人は視野を広げ、今まで触れてきたことのない世界を見てみるのも良いと思います。

天職は時間をかけて、トライアンドエラーを通じて見つかるものと言われており、残念ながらすぐに天職が見つからない方のほうが多いのではないかと思います。ですから「天職を見つけたい。私にとって理想の仕事って何?」とすぐに答えを出そうと焦らないでほしいです。天職を探すこと自体が目的になってしまうと、心がしんどくなってしまうでしょう。日々、好奇心や直感に従ってトライアンドエラーを繰り返し、その日その日を楽しんで行動した先に天職があります。

このように天職の発見の仕方は様々で、天職の見つけ方は一人一人異なるともいわれていますが、何かヒントになるものがあれば嬉しいです。

実は私自身も導かれるようにして天職を見出しました。天職について書かれた海外の論文を読み始めた時のことを今もはっきりと覚えています。 大晦日、スマホで何気なく読んだらとてもおもしろくて、次の日も、また次の日もと、のめり込むように論文を読み漁りました。 自分でも研究したいと思うようになり、学会へ行き、論文を書いた先生と話し、気がつくとイギリスに留学していました。 一つ一つはスモールステップでしたが、それを積み重ねることで、やがて天職にたどり着く。そんな例として、受け止めてもらえたら嬉しいです。

留学や海外インターンシップの経験が、天職を見つける第一歩に

留学や海外インターンシップなどの経験は、天職を意識する良いきっかけとなるでしょう。住み慣れた日本での生活は、いわばイージーモード。留学やインターンシップなどで海外へ行くと、それが一転してチャレンジモードになります。日本ではすべてのことが当たり前で、大きな変化はないかもしれませんが、海外ではすべてのことが新鮮です。 感覚が研ぎ澄まされ、その土地の文化やしきたり、ルールを知り、新しい環境に少しずつ慣れていきます。毎日のように数多くの新しい「何か」に触れることで、日本では発見できなかった自分が関心を持つテーマがわかったり、眠っていたスキルや能力が開花したりといったことが起こります。

今、まさに留学中の方はせっかくの良い機会ですから、漫然と過ごすのではなく、「留学先でどんな能力やスキルを伸ばせるだろう?」「どんな仕事の幅を伸ばせるだろう?」と意識するだけで、そこから行動が変わり、気が付くと驚くような展開になっていたということもあるかもしれません!

「天職についている人は幸福感が高い」という研究結果が出ています。天職研究者が発表しなくても、私たちは感覚的に「天職に就けたら幸せだろう」と思っているはずです。そして、自分が持って生まれたポテンシャルを発揮して、人や社会に貢献できたら、こんなに素晴らしいことはないと思います。ですから皆さんが就職活動をする時には、「自分のポテンシャルを発揮できそうだな」「自分の能力が活かせて、会社にも社会にも貢献できそうだな」 という視点で会社選びをしてみてください。

海外の企業に就職したい方は、環境適応性(アダプタビリティ)が重要になります。言葉や商習慣が異なる環境に身を置いた時、自分が適応できるのか。留学や海外インターンシップで「現地でのハプニングをむしろ楽しんでいた」という方は、海外の仕事が今の時点では、天職かもしれません。

「今の仕事が天職」と思っている人は、他の仕事では自分はもっと楽しめない、ハッピーを感じられない、自分の才能を発揮できないと認識している方が多いです。何より仕事が楽しく、お願いされなくても自らの意思でどんどん仕事を進めるので、多少のことではへこたれないし、つらい時でも頑張れるレジリエンスがあります。これも天職研究の成果として言われていることです。この記事を読んでいる皆さんが「人には皆天職があり、私にもある」と天職を意識し、「これが私の天職」とはっきり思えるまでの発見の道のりを大いに楽しんでもらいたいです。人と比べることなく皆さんにとってのそれぞれの天職で、組織や社会に貢献され、周りも自分もハッピーになって頂きたいと思います。

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