英文履歴書と英語面接のポイントを解説!
海外就職を目指している人にとって、クリアしなければならないのが、英文履歴書と英語面接です。日本の就職とは選考のスタイルやプロセスが大きく異なるため、ポイントをしっかり理解した上で十分な対策を講じることが大切です。そこで今回は、英文履歴書の基本フォーマットや構成、英語面接で聞かれる質問、さらには突破のコツなどを詳細に解説します!
英文履歴書や英語面接が必要なタイミング
日本と海外の選考プロセスの違い
英文履歴書と英語面接のポイントを理解するにあたって、まずは日本と海外の選考プロセスの違いについて解説します。
日本の新卒採用は、事前に決めた採用計画に則り、必要な人数をスケジュールに沿って選考・採用する「新卒一括採用型」が一般的です。会社が指定するフォーマットに沿ってエントリーシートを書き、個人面接や集団面接、グループディスカッション、適性検査などの選考が行われます。そのため、学生は同じ時期に就職活動を行い、同じ時期に入社します。
一方、海外では「ジョブ型」と言って個別採用が一般的です。ポジションが空いたらその部門のリーダーが募集をかけ、人材を採用します。英文履歴書や志望理由を書いたカバーレターを提出しますが、会社からフォーマットを指定されることはありません。海外の学生は大学を卒業後、自分に合う企業を見つけてアプローチをかけ、選考に臨みます。
日本と海外の選考プロセスの違い | |
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日本就職 | 海外就職 |
・新卒一括採用 ・エントリーシート ・面接やグループディスカッション ・筆記試験や適性検査 ・内定後のフォローアップ |
・個別採用 ・履歴書(CV)カバーレター ・非公式&正式な面接 ・オンラインアセスメントや課題 ・リファレンスチェック |
英文履歴書の書き方と効果的に伝えるポイント
和文履歴書と英文履歴書の違い
先述したように日本と海外では選考のプロセスが大きく異なります。英文履歴書も和文履歴書と比べてみると、違いがいくつもあることに気づくと思います。
履歴書 | |
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和文履歴書 | 英文履歴書 |
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例えばサイズの違い。英文履歴書はA4サイズ一枚に収めるのがスマートとされています。決まったフォーマットはなく、自分でフォントの種類やサイズを設定し、文章を配置していきます。そのため、レイアウトのセンスや文書作成能力の有無が問われます。
写真を貼らず、年齢や性別を記載しないのも、英文履歴書の特徴です。趣味も記載しません。これは、応募者のバックグラウンドではなく、「どのような仕事経験があり、いかに積極的に仕事ができるか」を評価するためです。
和文履歴書では学歴や職歴を過去から現在に遡って書きますが、英文履歴書では最新の職務から書いていきます。「新しく経験したことをどんどんアップデートしていく」と考えると、わかりやすいでしょう。また、基本的に手書きでの作成はNGです。
人員が欠員して部門のリーダーが新しい人材を採用する際、数多くの英文履歴書を読むことになります。数秒で判断することもあるため、ポイントを抑えて簡潔に書くことが何よりも大切です。
和文履歴書と英文履歴書の違い | |
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1.サイズの違い 2.決まったフォーマットがない 3.写真がない 4.年齢・性別を記載しない |
5.年代の並び方が逆 6.趣味の項目がない 7.学歴・職歴の書き方に形式はない 8.手書きでの作成はしない |
英文履歴書の基本フォーマットと構成
次に英文履歴書の基本フォーマットと構成についてみていきましょう。
■英文履歴書の基本フォーマット
・用紙サイズ:A4
・フォント:Times New RomanまたはArial
・文字サイズ:10.5~12pt
先に解説したように、英文履歴書はA4サイズが一般的です。フォーマットの決まりはありませんが、ビジネスでよく用いられるフォント・サイズに準じると良いでしょう。フォントはTimes New RomanまたはArial、サイズは10.5~12 ptを目安にしましょう。
英文履歴書に盛り込む内容も決まりはありませんが、「構成のパターン」があります。以下の構成を参考にして、英文履歴書をまとめましょう。
1. Personal Information
住所やEメールアドレス、電話番号などの個人情報を書く欄です。私用アドレス(あだ名や趣味に関連したものが入っているアドレス)をそのまま就職活動でも使う人がいますが、ビジネスにはふさわしくありません。名前をメインにしたアカウント名に変更しておきましょう。
2. Objective
「なぜこの会社に就職したいのか」「なぜこの職種に就きたいのか」といった志望理由を書きます。3行程度に簡潔にまとめましょう。
3. Summary
自分のセールスポイントのうち、志望する職種と関連する技能や経験を書きます。2~3項目に絞り、箇条書きで簡潔にまとめましょう。
4. Work Experience
職務経験を書く欄です。大学生の場合、アルバイトやボランティア等の経験を書くと良いでしょう。「カフェのバイトで割引キャンペーンを企画し、売上が前年比120%に増えた」など、具体的に書くこと。海外ではインターンシップの経験を評価する文化があるので、海外インターンシップに参加した方は必ず書きましょう。
5. Education
どの大学でどのような勉強をしたのか、最終学位を書きます。
6. Qualification / Skill
スキルと資格を書きます。語学のレベルに自信がない方は、TOEICやIELTSのスコアではなく、「英語中級以上」など表現を工夫するとよいでしょう。「日本語のネイティブであること」や「日本のマーケットを知っていること」が、海外就職においてアドバンテージになるので、書き添えると良いでしょう。
なお、英文履歴書でアピールできるスキルは、ハードスキルとソフトスキルに分けることができます。ハードスキルはプログラミングスキルやコンピュータスキル、言語スキル、デザインスキル、マーケティングスキルなど。ソフトスキルは問題解決能力やコミュニケーション能力、創造性、チームワーク、タイムマネジメント能力、アクティブリスニング、批判的思考力、順応性など。「Qualification / Skill」を書く際の参考にしてください。
Action Verbを効果的に使用しよう
「Action Verb」の活用は、魅力的な英文履歴書を書く上で最も重要です。
たとえば成果について紹介するとき、「Demonstrate」を使うと、説得力が増します。逆に「Show」や「Do」を使うと、「稚拙だ」と判断されてしまいます。
これは、Action Verbがビジネスでもよく用いる強い表現だからです。より説得力のある内容にするためにも、Action Verbを効果的に使用しましょう。
Action Verbの例 | |||||
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Achieve / 達成する | Advocate / 提言する | Assign / 任命する | |||
Attain / 達成する | Authorize / 権限を与える | Build / 構築する | |||
Conduct / 実行する | Contribute / 貢献する | Coordinate / 調整する | |||
Create / 創造する | Demonstrate / 示す | Direct / 指揮する | |||
Facilitate / 促進する | Guide / 導く | Handle / 処理する | |||
Head / 先導する | Identify / 確認する | Implement / 実行する | |||
Improve / 改善する | Introduce / 導入する | Launch / 始める | |||
Lead / 導く | Manage / 管理する | Maximize /最大化する | |||
Minimize / 最小化する | Negotiate / 交渉する | Operate / 運用する | |||
Organize / 組織化する | Perform / 実行する | Persuade / 説得する | |||
Plan / 計画する | Prepare / 準備する | Provide / 与える | |||
Research / 調査する | Resolve / 解決する | Reinforce / 強化する | |||
Schedule / 予定する | Select / 選択する | Supervise / 管理する | |||
Support / 支える | Train / 訓練する | Update / 更新する | |||
Upgrade / 改良する | Utilize / 活用する | Verify / 立証する |
英語面接の心構え
6つの心構えで完璧な準備を!
英語面接で高い評価を受けるためには、海外の文化を理解したうえで臨むことが大切です。
■時間に余裕を持って臨む
最近は対面やオンラインなどさまざまな面接のスタイルがあるので、事前に準備をしておくと良いでしょう。たとえばオンライン面接の場合、使い慣れていないツールを指定されることがあるかもしれません。事前にデモンストレーションを行えば、心にゆとりをもって臨むことができるでしょう。
■はっきりと明確な英語で
英語の発音に自信がなくて、ついつい声が小さくなってしまうと、「Sorry?」と何度も聞き直されてしまいます。焦ることはありません。相手に聞きやすい音量で、はっきりと話すようにしましょう。また、オンライン面接の場合、事前に回答を書いたメモを机に置いておき、チラチラと手元を見ながら答える方がいますが、これは相手に筒抜けです。本番ではメモなどを見ずに自分の言葉で答える事が大事です。
■自己紹介より自己ピッチ
海外面接で「自己紹介をしてください」と言われたら自分を売り込む「自己ピッチの場」と捉えましょう。「私はこれだけ熱意があります」「これだけのことができるので、御社で必ず役に立ちます」と、自信を持ってアピールしてください。時間を指定されることもありますが、2~3分以内であれば問題ありません。
■必ず聞かれる質問への回答を準備する
海外面接で必ず聞かれる質問をピックアップして、回答を準備しておきましょう。「こう答えよう」とイメージするだけでなく、実際に言葉で答える練習をしておくと、当日緊張せずにスムーズに話すことができます。
■最後に意欲や目的のある質問を投げかける
海外面接では、多くの場合、最後に「Do you have any questions?」と聞かれます。1つの決まり文句となっているので、戦略を練って準備をしておきましょう。日本人は「特にないです」と答えてしまいがちですが、海外では「モチベーションが低い」と取られてしまうため、質問は事前に用意しておくと良いでしょう。
■自信を持つこと!
海外では、自信があるように見える人が高く評価されます。しかし、たとえ自信がある人でも、コンディションが悪い日があるかもしれません。たまたま自信のない日に面接があっても、声のトーンや大きさ、表情や姿勢などを工夫すれば、自信があるように見せることができきます。
自信があるように見える人の特徴 | |
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声のトーン | 高すぎず、低すぎず |
声の大きさ | やや大きめ |
話し方 | 相手の目を見る |
表情 | 困った時に笑ってごまかさない |
話す内容 | 本題や結論から入る |
言葉のチョイス | 「Sorry.」などの謝罪の言葉は軽々しく使わない。 相槌は「Great, I agree with you.」などビジネスで使用するフレーズを選択する |
姿勢 | 背筋を伸ばし、ゆったり構える |
動作 | 強調する箇所はジェスチャーを使う 握手は強めにしっかり握る 生き生きとした様子 |
メンタル面 | 「英語が通じなかったらどうしよう?」などの不安要素は打ち消してから臨む 自己信頼感を高く持つ |
言葉に詰まった時に「Sorry.」と謝る人がいますが、謝罪の言葉は自信がないように見えるので避けましょう。間違えてしまったときは、「Excuse me.」と答えると良いでしょう。たとえすぐに言葉が出てこなくても、落ち込む必要はありません。「Could you wait for a while?」と伝えて心を落ち着かせ、しっかり思い出してから話せば大丈夫です。
英文履歴書と英語面接の突破のコツ
セルフヒストリーを書き出して、自分をアピール
最後に、英文履歴書と英語面接で皆さんの魅力を存分にアピールし、海外就職を成功させるためのポイントを3つに分けて紹介します。
まずは自己アピールから。
■自己分析をして、セルフヒストリーを書き出す
自己アピールをするうえで最も重要なのは、自己分析をしてセルフヒストリーを書き出すことです。人生を振り返り、分岐点となるような経験をピックアップしましょう。友だち同士で質問し合うと、自分では気付けない強みが見つかるかもしれません。
特に留学や海外インターンシップは、自分を見つめ直す良い機会になります。海外といういつもとは違う環境に身を置くことで、新たな気づきを得られるかもしれません。また、海外では初めて会う人に自己紹介をすることが頻繁にあるため、フラットな状態で自分を見つめることができるでしょう。
■過去の経験から自分のアピールポイントをまとめておく
自己分析ができたら、自分のアピールポイントをまとめましょう。先に解説したように、自己紹介は自己ピッチの場です。面接では2~3分程度で答えられるよう、事前に練習しておきましょう。
■「志望企業にとって魅力的な人物であること」を伝える
企業研究も必ず行いましょう。志望する企業の事業内容や仕事内容を理解し、皆さん自身の強みや経験と照らし合わせることで、「どんなことをアピールできるか」が見えてきます。「志望する企業にとって皆さんが魅力的な人物であることを伝えよう」と意識しながら、英文履歴書の「Summary」「Work Experience」「Education」「Qualification / Skill」をまとめましょう。
必ず聞かれる質問への回答は完璧に!
海外面接で頻繁に聞かれる質問は、以下のとおりです。「必ず聞かれる」という心構えで、事前に準備をしておきましょう。
・Please tell me about yourself. (自己紹介)
・Please tell me why you want to work for this position. (志望動機)
・Do you have any specific skills or experience to contribute our company?
(専門スキルや経験についての質問)
・Do you have any questions or concerns? (質疑応答)
質問に対する答えを用意し、何度も練習を行うことで、当日、自信を持って臨むことができます。「仕事でこういう困難にぶつかり、このようにして乗り越えた」など、具体的なエピソードを盛り込むと良いでしょう。
「何か質問はありますか」への返答は、最後の腕の見せどころ
面接の最後に「Do you have any questions?」と聞かれた時を想定して、準備を行っておきましょう。
・会社のウェブサイト(日本語・英語)で事業内容を熟読、公式SNSもフォロー
・メディアリリースや過去のメディアで話題になったトピックやトレンドもピックアップ
・リサーチした中から質問を最低5個(できれば7~10個)考える
・面接では、準備した質問からこちらの意欲や目的の伝わる質問を2つ選び出す
・質問に英語で簡潔に伝えられるように練習しておく
まずは、ウエブサイトやメディアリリースなどをチェック。また、公式SNSがあれば必ずフォローしておきましょう。旬のトピックやコミュニティ活動などの情報を得ることができます。グローバル企業の場合、日本語で検索しても関連トピックがヒットしますが、日本語と英語では情報量が違います。志望企業について調べるときは、必ず英語で検索しましょう。
リサーチした内容の中から、気になるトピックをピックアップし、質問にまとめましょう。できれば7~10個程度考えておくと良いでしょう。面接当日、「Do you have any questions?」と聞かれたら、これまでの受け答えから最も自分の思いを伝えられると判断した質問の中で上位2つの質問を相手に投げかけてみましょう。きっと、「この応募者は、しっかりリサーチしているな」「モチベーションがあるな」と評価してくれるでしょう。
自信をもって質問が出来るよう、事前に練習を繰り返して万全の態勢で臨みましょう。
大川 彰一
株式会社留学ソムリエ 代表取締役
留学カウンセラーとし1,000名以上の海外留学に関わった後、米国教育NPOのアジア統括部長として2,000名以上のグローバル人材育成に尽力。現在は留学ソムリエとして、留学事業コンサルティングや産業連携プロジェクトに関わる。情報経営イノベーション専門職大学客員教授。東洋経済オンラインレギュラー執筆者。著書に『グローバル就活・転職術』(IBCパブリッシング)など。