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海外留学からホテル業界へ

“やりたいこと”が見つからなかった私が見つけた道

海外留学からホテル業界へ

“やりたいこと”が見つからなかった私が
見つけた道

Y.O.さん

ホテル勤務
日本在住 K.K.さん

大学在学中にニュージーランドへ1年間留学。現地での生活を通じて、多様な価値観を受け入れる姿勢と、コミュニケーション力を培う。帰国後の就職活動では、自分らしい働き方を模索する中でホテル業界と出会い、現在は都内のホテルにて宿泊部門(フロント業務)を担当。ラウンジ、レストラン部門も経験し、現場責任者として接客とマネジメントの両面で活躍している。

違っていい。だからおもしろい――異文化との出会いが教えてくれたこと

高校時代、海外に留学した友人がそのときの楽しそうな写真を見せてくれました。その写真が、私の「今」に通じる最初のきっかけです。友人の留学中の姿がとにかく楽しそうで、「私も行ってみたい」という気持ちが自然に芽生えました。特別強い動機があったわけではなく、ただ漠然とした憧れが留学の原点です。

大学は、1年次に1年間の留学プログラムがある学科を選びました。渡航先はニュージーランド。大学生になった途端、すぐに現地での生活がスタートしました。ホームステイ先での暮らしはまさに“異文化”。英語は元々好きだったとはいえ実際に生活をするとなると話は別で、最初のころは言葉がうまく出てこず、頭の中で何度も日本語を英語に翻訳してはタイミングを逃して沈黙してしまう毎日でした。

授業中もなかなか発言できず、聞き取れた単語や文章をノートに書きとめて、あとで必死に調べていました。クラスメイトの会話に自信をもって加わっていくことも最初は簡単ではありませんでした。日本人留学生同士で固まりそうになる自分を、なんとか「それでは意味がない」と振り切って、学生寮での生活からホームステイに切り替えて英語漬けの生活を送りました。印象的だったのは、ある日の夕食。ホストファミリーが用意してくれたのは、ケーキとアイスクリームだけ。「これが晩御飯?」と驚いた私に、「どうせ後で食べるから、食べ過ぎないようにデザートだけにしたの」と笑うホストマザー。とても合理的というか、「食はこうあるべき」という固定観念にとらわれていませんでした。

ホームステイでの暮らしは慣れないことの連続でした。最初は生活のリズムや文化の違いに戸惑うこともありましたが、簡単な英語でも気持ちを伝えようとする中で、少しずつホストファミリーとの距離も縮まっていきました。

授業では英語、家でも英語。毎日が英語漬けの生活です。だからこそ少しずつ言葉の壁を乗り越えていき、違和感も「一つの文化」として受け入れられるようになっていきました。言い方がきつい?と感じていたストレートな表現も、相手を信頼しているからこそ率直に伝えてくれるのだとも気づきました。

「違うこと」や「わからないこと」を怖がらずに、まずは受け止めてみる。今でも意識しているこの姿勢は、思えばこの留学で養われたのかもしれません。

「やりたいことが、わからない…」から始まった就職活動

「留学経験」と「就職活動」をうまく結びつけることができない――。このような壁にぶつかっている人は、案外多いのではないでしょうか?私もその一人でした。「海外での経験をどう活かしたらいいのか?」「自分には何が向いているのか?」と聞かれても、うまく答えられませんでした。留学中に語学力や異文化への理解は深まったものの、それがどんな仕事に繋がるのかピンと来なかったのです。

最初に直面したのは、自己分析の壁でした。ノートに自分の長所や短所を書き出しても、すぐに手が止まってしまう。「やりたいことがある人」「夢に向かって突き進んでいる人」がまぶしく見えて、私は何も持っていないような気がして、焦りが積もっていきました。

あるとき、キャリアセンターの先生に「もっと具体的に自分を語れるようにならないと就職活動は難しいよ」と言われ、泣いてしまったことを覚えています。周囲からのアドバイスも、ネットで見た就職活動の方法も、自分にしっくりくるものがなくて何を信じて進めばいいのかわからなくなっていました。

それでも、自己分析の中で唯一はっきりしていたのは、「人と関わることが好き」ということでした。留学中に、言葉がうまく通じなくても、身ぶり手ぶりで気持ちを伝えて笑い合えた瞬間が何度もありました。そうした小さなやりとりの中で、「人と関わることの楽しさ」や「相手と通じ合える喜び」を感じるようになっていたのです。

それからは業界や職種を「自分に何ができるか」ではなく、「どんな人と、どんなふうに関わっていきたいか」という視点で考えるようになりました。そうして出会ったのが、ホテル業界です。合同説明会などに行く中で、「お客様の目線に立って行動する」という考え方や、チームで動くスタイルに惹かれていきました。

最終的に志望したのは、都内・中枢エリアの一等地で、“人に寄り添う接客”ができるホテル。選考ではこれまでの自分の経験やそこで得た価値観を、できるだけ素直に話すようにしました。取り繕っても仕方がないと思ったからです。面接で「ちゃんと自分の言葉で話してくれているね」と言われたときは、本当に救われた気持ちでした。

内定をもらえたときはもちろん嬉しかったのですが、それ以上に「よかった、ようやく自分の居場所が見つかったかもしれない」という、安堵に近い感情がこみあげてきました。

人と向き合うホテルの仕事で見つけた、私らしい働き方

現在は宿泊部門(フロント業務)を担当しています。これまでに、ラウンジ、レストランを経て、現在の配属先に至りました。どの部門でも共通しているのは、「人と丁寧に向き合う」こと。特に宿泊部門では、お客様との接点が長くなるため、その対応一つひとつに責任とやりがいを感じています。

ホテルの立地柄、宿泊されるお客様の6~7割は外国籍の方です。留学中に培った“異なる文化や価値観を否定せずに受け止める姿勢”が、まさに今の仕事で活きていると感じています。

印象的だったのは、あるお客様から名指しでお礼メールをいただいたこと。ご滞在中、お客様側のトラブルで部屋を変えたのですが、その際のお声がけや対応がお客様の安心感につながったようでした。英語でのご案内でしたが、伝えようとする気持ちやその行動・機転も評価され、「あなたのおかげで滞在が本当に心地よいものになった」と言っていただけました。

ホテル業は簡単な仕事ではありません。大学では専門的なホスピタリティを学んだわけではないので、業界特有の知識を実務で一から覚える必要がありました。また、日常的な英語ではカバーしきれない語彙の壁にぶつかることもあります。立ち仕事が中心のため、体力面での負担も正直あります。それでも現場には「同じ1日がない」からこそ、おもしろさがあります。多様なバックグラウンドを持つお客様との出会いがあり、そのたびに新しい発見があります。何より、「ありがとう」「あなたがいてよかった」という言葉や口コミを見るたびに「やっていてよかった」と思えます。

今は現場責任者としての役割も担い始めています。スタッフをまとめたり、より良いサービスにつなげるための動きを考えたりと、現場を超えた視点が求められるようになりました。人と接する仕事を、より広い視野で見つめていけるよう、自分自身のマネジメント力も育てていきたいと思っています。

就職活動中、「やりたいことがわからない」と感じていた自分が今こうして充実感を持って働けているのは、「人と関わるのが好き」という小さな気持ちを大切にしてきたからです。学生の皆さん、あるいは留学中の皆さんは、今自分に何ができるかが見えなくても大丈夫。新しい世界に一歩踏み出してみれば、きっと何かが見えてきます。そしてそれが、自分にしかない強みになっていくはずです。英語に限らず、どんな言語でも、どんな経験でも、心から「好き」と思えるものをどうか大切にしてください。きっと、それが皆さんのキャリアのきっかけになってくれます。

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